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【決算ウォッチ】ビオフェルミン製薬 2021年3月期2Q

▷【決算ウォッチ】ビオフェルミン製薬 2021年3月期2Q

現在、ポートフォリオの主力に据えているビオフェルミン製薬が10月22日に2021年3月期第2四半期決算を発表した。大幅な減収減益を見込む今期業績予想に反して、第1四半期決算が増収増益であり、上方修正の期待が高まっていたことから年初来高値圏の株価で第2四半期決算発表を迎えた。

 

1.決算概要

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売上高5,366百万円(前年比▲13.8%)、営業利益1,447百万円(▲8.3%)で、通期業績予想に対する進捗率は売上高が49.1%、営業利益が66.3%、EPSが68.4%となった。

2.事業動向

9月10日にIRに問い合わせた際に、「第1四半期は出荷前倒しがあり増収となった」との回答を頂いたが、その影響もあるのか第2四半期の売上高は弱かった。プロモーション費用や研究開発費が下期へずれ込む見通しとし、通期業績予想は維持。特に目立った動きは見られない。

3.感想

事前の期待が高かった第2四半期決算は期待に届かず、決算発表翌日の10月23日は、株価が一時8.7%安となるなど失望売りが出たが、事業の強さ、近い将来に完全子会社化されるとの見方は不変。2,320円~2,340円で買い増しを行なった。

 

また期待に届かなかったとはいえ、今期の第2四半期時点でのEPS進捗率は68.43%で過去5年平均(61.85%)と比較すると、約6.6%進捗状況が良い。会社予想の第2四半期業績予想と実績値を比較すると、売上高は想定線ながらも、営業利益・経常利益・当期純利益は約4割超過している。会社側も下期の改善を見込んでいるようだ。

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 ビオフェルミン製薬は保守的な業績予想を立てがちであることも考慮し、通期では進捗率115%のEPS150円での着地を独自予想。2,320円ならPER15.4倍、PBR0.91倍となる水準で依然として割安。

 

来週中に提出されると思われる第2四半期報告書で、重田光時氏の資産管理銀行と推測される「THE HONGKONG AND SHANGHAI BANKING CORPORATION LTD-SINGAPORE BRANCH PRIVATE BANKING DIVISION CLIENT A/C 8221-563114」の株式保有比率に変化があるかどうかにも注目したい。

 

▷今日の関連株

櫻護謨って、読めない?

▷櫻護謨って、読めない?

欅坂46が新たに櫻坂46となり、昨夜の放送からテレビ東京冠番組も『欅って、書けない?』から『そこ曲がったら、櫻坂?』という番組名になった。週末は光通信の投資先180社を様々な投資指標から分析していた事もあり、番組を観ていて「そういえば光通信の投資先で櫻護謨という企業があったな」とぼんやり思い出した。

 

気になり始めて『そこ曲がったら、欅坂?』を見ながら櫻護謨有価証券報告書を読んでいたが、これがなかなかおもしろい企業だった。

 

櫻護謨は、護謨と社名に付いている通り、1918年に航空機用ゴム部品、消防機器、油圧機器などの各種ゴム製品メーカーとして現在の世田谷区笹塚で創業。戦後はゴム製造技術を活かして日本初のゴム製消防用ホースの製造を始め、現在は、消防ホース、各種防災機材を扱う「消防・防災事業」、航空機やロケット関連部品、ゴム製工業用品を扱う「航空・宇宙、工業用製品事業」を2本柱にしている企業だ。

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業績の方は、20年間営業赤字無しと安定してはいるものの、大きく成長しておらず、株式の売買が成立しないほどの流動性の低さが敬遠され、櫻護謨株は、時価総額45.8億円、前期実績PERで6.48倍、PBRで0.60倍にとどまっている。割安ではあるが、そこまで魅力がある株とは言い難い。

 

それではなぜ光通信櫻護謨株を56,000株も取得し第5位株主になったのだろうか。

 

その答えの一つは、櫻護謨保有する笹塚駅前の商業施設「笹塚ショッピングモール」の資産価値にあると思われる。櫻護謨笹塚駅前に置いていた主力工場を1970年代に閉鎖、栃木県大田原市に移転させている。そして跡地をクイーンズ伊勢丹ニトリなどをメインテナントとするショッピングモールとして再開発したのである。

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古地図with MapFanより 昭和

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古地図with MapFanより 現在

これらの笹塚ショッピングモールの不動産評価額は、2020年3月期の有価証券報告書で63.4億円、つまり帳簿価額との差額35.8億円が含み益となっていることがわかる。不動産含み益を考慮して実質的なPBRを算出すると0.45倍だ。

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おそらく光通信は、こうした不動産含み益まで考慮した株価の割安さ、20年間営業赤字無しで官公庁向けビジネスが大きいという事業のディフェンシブ性、流動資産比率の高さ、などを勘案して櫻護謨に投資を行なっているのだろう。

 

ちなみに今日、早速、櫻護謨の板を見てみたが、思っていた以上に流動性が低い。。。買おうと思っても売り板に「えいや!」とぶつけるしかなさそう。

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▷今日の関連株

  • 櫻護謨東証二部 5189)消防・防災関連などの各種ゴムホースの専業。航空。宇宙関連では海外企業とも組み国際展開

【決算ウォッチ】カワサキ 2020年8月期決算

▷【決算ウォッチ】カワサキ 2020年8月期決算

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徐々に各社の7~9月期の決算が出てくる時期になってきた。再来週あたりから本格化し、今回のピークは11月13日。各社の4~6月期決算では新型コロナウイルスの影響が発現してきたことが確認できたが、その影響はどの程度続いているのか、企業側はそれにどう対応しているのかなど今回も注目すべき点は非常に多く、重要だ。

 

先日、会社四季報秋号で気になった企業として挙げたカワサキは8月決算企業なので、一足早く10月14日に2020年8月期決算を発表した。

 

1.決算概要

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2020年8月期は、売上高15.74億円(前期比▲17.3%)、営業利益2.97億円(▲14.8%)と二桁の減収減益。2021年8月期の業績予想は新型コロナウイルスの影響により合理的に算定することが困難なことから未定とした。

 

2.事業動向

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高級ハンカチやタオルを扱う服飾事業は、セグメント売上高が前期比で36.7%減、前々期比で50.8%減と大幅な減収となっている。新型コロナウイルスの影響もあるが、不採算店舗の閉鎖など戦略的に服飾事業を縮小しているようにも見える。

 

一方で、倉庫の賃貸と倉庫の屋根に設置した太陽光発電の売電を行なう賃貸・倉庫事業は安定して収益を上げている。倉庫会社としての性格が益々、明確になってきているように感じた。

 

3.感想

表面的に今回の決算短信を読むならば、前期は二桁減収減益で見栄えが悪く、今期業績予想も未定なため、ネガティブな印象だ。しかし、決算短信の注記には、今期は固定資産売却益2.60億円が計上される予定であるとの記載がある。これは前期の当期純利益に匹敵する額であり、今期のEPSは約220円程度になるのではないか。とすると、10月14日の終値980円ベースでPER4.4倍、PBR0.49倍。一時的な要因とは言え、かなり割安感がある。

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加えてこの固定資産売却で得た6億円の使い道も気になるところであり、明日、表面的に決算短信を読んで失望した株主が売ってくるのなら、喜んで買い増したいと思う。今度、IRにも電話してみたい。

 

▷今日の関連株

最初に買った株

▷最初に買った株

これまで株式投資関連のブログを何回も書いてきたが、今回は僕が株式投資を始めて最初に買った株について書きたいと思う。僕が株式投資を始めたのは今から約9年前の2011年11月17日。最初に買ったのはオリンパス

 

当時、15歳で中学3年生だった僕は、同年3月に発生した東日本大震災以降、連日取り上げられる政治や低迷する経済、企業業績に強い興味を持つようになり、日本経済新聞の購読を始め、中学校では給食を食べ終わると業界地図を読んだりするようになっていた。

 

そんな中で、内視鏡メーカーのオリンパスの社長であったマイケル・ウッドフォード氏が10月14日の取締役会で電撃的に解任され、経営の先行き不透明感やガバナンスを不安視する見方からオリンパス株の暴落が始まった。ウッドフォード氏がFT紙に「(オリンパスの)過去の買収で過大な支出があったことを指摘したことが解任の要因」と話したり、証券取引等監視委員会などが調査を開始したと報じられ、どうやら何か怪しいらしいと。そして11月8日には過去の損失計上を先送りしていたことが明らかになる。これが有価証券報告書の虚偽記載に当たり、オリンパス上場廃止になるとの見方からさらに売り込まれ、11日には1980年以来の最安値となる424円を付けた。

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自分はこうしたオリンパスの動向を連日、日本経済新聞で読んでいたが、11月14日に「上場維持の見込み」と報じられたのを見て、世界シェア7割を誇る内視鏡など確かな技術や事業基盤を持った企業であるから時間がかかってもいつか元の株価に戻るのではないかと考えた。

 

両親が投資に理解があったこともあり、約20万円を貸してもらい、発注の仕方など基本的なことを教えてもらった上で、オリンパス株に300株成行で買い注文を出したのが11月17日。そして平均約740円で約定。結局、オリンパス上場廃止にはならず、数か月後に約1,350円で全株を売却した。

 

ちなみに確かな技術と事業を持ったオリンパスは完全復活し、今日の終値は分割前の株価で8,900円(2019年に1:4で株式分割)になっている。やはり株式投資とは究極的にはその企業のオーナーになること、その事業を買うということであり、オリンパスのような事例が今後あれば、また狙っていきたい。

 

株式投資を始めて良かったこと

  1. 経済動向や企業経営について主体的に学ぶようになった。
  2. コンビニの商品や新幹線の車窓から見える工場など、周りにある経済を調べる癖が付いた。
  3. 以前よりも経済や企業に関する数字に強くなった(おおよその企業規模等がわかる)。
  4. 財務諸表が読めるようになった。
  5. 日々の生活収支に敏感になった。

 

▷今日の関連株

光通信の投資活動が今明らかに!

光通信の投資活動が今明らかに!

会社四季報を読んでいて、毎回気になるのが光通信の動向である。光通信は、法人向け・個人向けに通信回線サービスや電力、宅配水などの商材を販売している企業であるが、余裕資金を中小型割安株で大規模に運用している投資会社としての側面も有している。今号の会社四季報を調べてみたところ、光通信が株主名簿上位10位以内に登場している企業は155社あった。

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直近四半期でも純額で約200億円の投資有価証券を取得するなど大規模に投資を続けてはいるが、光通信がどのような意図で投資を行ない、どのような基準で投資先を選定しているのか等は、これまでベールに包まれていた。しかし、ついにその投資行動の一部が明らかになろうとしている。

 

光通信は、ビルの窓拭き用ゴンドラメーカーのサンセイの株式を2020年3月末時点で19.80%保有しているが、サンセイ保有比率が20%を超える大規模買付行為に対して買収防衛策を導入している。この買収防衛策では20%を超えて買付けを行なう際には「意向表明書」の提出と、大規模買付行為に問題が無いかどうかの検討に必要な「必要情報リスト」への回答を求めている。光通信は、既に8月7日に、20%超の買付意思があるとして「意向表明書」を提出し、そしてついに昨日10月9日にサンセイ光通信の「必要情報リスト」への回答書を受領した。

 

以下が「必要情報リスト」の回答項目で、期待投資利回り、投資方針、投資意思決定の仕組みなど、光通信の投資活動の根幹に関わる考え方を回答するように求められている。

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おそらく週明けには、サンセイ光通信から受け取った「必要情報リスト」の回答が一般にも公表されると思われる。回答の内容次第で、サンセイはもちろん、サンセイ以外の光通信の投資先154社の株価に動意があるかもしれないのでこれまで以上に光通信の動きには注目が必要だろう。

起業家の銭地獄 「巨悪」欲望の暗闘史 二巻
 

▷今日の関連株

  • サンセイ東証二部 6307)ビル用ゴンドラ、舞台装置のパイオニア。レンタルゴンドラや船舶修理、漁礁など海洋関連も
  • 光通信東証一部 9435)法人向け、個人向けに通信サービスや電力、宅配水などの商材を販売。2,500億円超を有価証券で運用する投資会社としての側面も

カワサキ(3045)について

カワサキ(3045)について

会社四季報秋号の通読を終えて、気になった企業の分析に少しづつ取り組み始めているが、今号で最も強い関心を持ち、さっそく分析にかかっているのが東証二部上場のカワサキだ。カワサキはドイツ製シェニール織物の高級ハンカチやタオル等を輸入し、それを販売している企業で、一見するとなんのおもしろみも無さそう。だが大株主に光通信(第6位株主 2.28%保有)が登場していること、発行済み株式の25.93%もの自社株を持っている点が目に留まった。

 

そこから有価証券報告書決算短信を確認してみると、おもしろいことに表向きには高級ハンカチ等の販売をしているカワサキの実態は、保有している倉庫の賃貸と、倉庫の屋根に設置している太陽光発電の売電を生業としている企業であることがわかった。

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セグメント別に業績をみても、高級ハンカチの「服飾事業」は慢性的な赤字で売上高も漸減傾向、倉庫の賃貸と太陽光発電の売電を行なう「賃貸・倉庫事業」の利益で「服飾事業」の赤字を埋めている形だ。2019年8月期にはついに「賃貸・倉庫事業」の売上高が「服飾事業」のそれを上回っている。

 

上場した2006年以降の有価証券報告書を読んでいくと、どうも2010年頃から服飾事業は不採算の直営店舗を閉鎖し、通信販売などによる販売を強化していく方針に転換したようで、どちらかというと撤退戦を進めている印象。一方で、賃貸・倉庫事業は積極的に新規倉庫の取得を進めており、2018年からは保有倉庫の屋根に太陽光発電パネルを設置し、売電を始めるなど積極的な投資を行なっている。

 

また、2018年2月に株式分割株主優待制度拡充を行なっているが、これは流動性時価総額を同時に上げる策であり、東証一部指定替えを狙っていそうなかんじがする。

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地味な企業だが、倉庫賃貸と太陽光発電という安定収益源があり、配当もまあまあ、株主優待で高級ハンカチも貰える。PER10倍、PBR0.5倍と割安で、債券的な株と割り切って保有しつつ、東証一部上場などのカタリストに期待するという投資は意外といけるかもしれないというのがカワサキを調べてみた印象だ。来週水曜日14日に本決算を発表するので、今期の業績予想にも注目している。

 

▷今日の関連株

会社四季報通読を終えて

会社四季報通読を終えて

会社四季報の通読を終え、気になる企業を335社ピックアップした。株価水準との比較や個別企業の分析をこれから徐々に行ない、投資できるかどうかを判断し20社ほどに絞り込んでいくつもりだが、とりあえず現時点で気になった企業を備忘録的に書いておきたい。

 

一部の新興企業はバブル的に株価が上がっているが、新型コロナウイルスが感染状況や米大統領選の動向など、株式市場が再度不安定化するリスクが高まっていると感じているので、

  1. 気になるポイントがある。
  2. 新型コロナウイルスの影響が大きくない(または追い風になっている)。
  3. 最低限の自己資本比率がある。
  4. PER・PBR面で無理がない。
  5. ROEROAが比較的高い。

などの点を重視しながら、会社四季報秋号に掲載されている全上場企業3,785社から335社の気になる企業をピックアップした。簡単な括りで一部を以下にまとめた。

 

1.建設関連

【公共事業関連】

内需かつ官公庁発注の公共事業ビジネスは事業の見通しが立てやすく、安定している。経済対策や選挙対策として公共事業費増へ向かいやすい環境でもある。2021年からの新・国土強靭化計画策定にも期待。

ケー・エフ・シー(3420)、積水樹脂(4212)、ベルテクスコーポレーション(5290)、日本鋳鉄管(5612)、水道機工(6403)、名古屋電機工業(6797)、スバル興業(9632)

  

【道路舗装】

内需かつ官公庁発注の公共事業ビジネスは事業の見通しが立てやすく、安定している。また道路舗装に使うアスファルトの原料は原油であるため、原油安の恩恵を受けている。

三井住建道路(1776)、藤渡(1807)、NIPPO(1881)、東亜道路工業(1882)、前田道路(1883)、日本道路(1884)、世紀東急工業(1898)、ニチレキ(5011)

 

【建設コンサルタント

同じく内需かつ官公庁発注の公共事業ビジネスは事業の見通しが立てやすく、安定している。建設コンサルタントは調査・企画・設計などを行なっているため固定資産がそれほど必要でなく、資産の質が良い企業が多い。

NJS(2325)、オリエンタルコンサルタンツHD(2498)、オリジナル設計(4642)、建設技術研究所(9619)、いであ(9768)、大日本コンサルタント(9797)

 

2.【不動産】

【不動産】

東京都心の空室率もじわりと上昇しているが、安定したテナントを有する企業はやはり安定している。

平和不動産(8803)、京阪神ビルディング(8818)

【学生マンション】

コロナの影響で不動産市況にも変調が見られるが、毎日コムネットは15年連続4月入居率が100%となるなど、学生マンションの安定性はずば抜けている。業績の見通しも立てやすい。

ジェイ・エス・ビー(3480)、毎日コムネット(8908)

 

3.巣ごもり需要

【食品】

感染拡大が止まっても、しばらくは外食を敬遠し、中食・内食にシフトする動きに大きな変化はないように思う。

ブルボン(2208)、プリマハム(2281)ヱスビー食品(2805)、はごろもフーズ(2831)、ピックルスコーポレーション(2925)、オーエムツーネットワーク(7614)

 

【食品スーパー等】

それら食品を販売している食品スーパーも中食・内食にシフトする動きをしっかり捉えている。

ジェーソン(3080)、マキヤ(9890)、ベルク(9974)

 

【外食】

外食セクターは本当にボロボロ、財務が危険水域にある企業も多い。一方で郊外店や持ち帰り比率が高い企業の中には良いものもある。

物語コーポレーション(3097)、日本KFCHD(9873)

 

 4.その他

光通信

毎度おなじみの光通信四季報を読んでいると様々な企業の大株主になっていて、如何に光通信の有価証券運用が活発化がよくわかる。コロナショックの暴落局面でも様々な銘柄を取得したとみられ、投資先には財務が良く、事業が安定している企業が多く、非常に興味深い。

カワサキ(3045)、タクマ(6013)、ジャフコ(8595)

 

5.【通読を終えての感想】

どうも株式市場が天井をつけるシグナルのようなものをここ数週間で見聞きするようになってきた。確かにコロナショック以降の日本の新興企業株、アメリカ株の上がり方は異常で合理的に説明できる株価ではない。波乱の米大統領選を約一か月後に控え、いつクラッシュしてもおかしくはない。現金の保有比率を上げる、PBR面で余裕のあるバリュー株に乗り換えていくべき時なのではないか。そうしたことを考えながら上記のような銘柄を選び出したつもりだ。これから随時、選び出した個別銘柄の分析を行なってそちらもブログ記事にしていきたい。

会社四季報 2020年 4集 秋号

会社四季報 2020年 4集 秋号

 

 ▷今日の関連株

まだ事業・財務を分析し株価水準との比較を十分にできていないが、特にカワサキ(3045)に大きな関心がある。

大王海運の買い増し

▷大王海運の買い増し

製紙業界5位の北越コーポレーションの株式を着々と買い増している企業がある。大王海運とその子会社である川崎紙運輸美須賀海運だ。

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大量保有報告制度に基づき、上場企業の株式を5%以上取得した投資家は大量保有報告書を、その後は1%以上の保有増減があるたびに変更報告書を財務局に提出することが義務付けられているが、大王海運グループは北越コーポレーション株の保有が5%を超えた2020年3月23日に大量保有報告書を提出して以降も買い増しを続け、先日9月24日に提出した最新の変更報告書によると保有比率が7.26%となった。

 

買い増しを続ける大王海運について詳しいことは明らかになっていないものの、大王製紙創業家が実質的なオーナーとみられ、大王製紙北越コーポレーションの間で対立関係が続いていることや、規模の小さい北越コーポレーション時価総額701億円)が規模の大きい大王製紙時価総額2,413億円)の株式24.3%を保有するという歪な資本関係であることから今後、敵対的買収や業界再編に繋がる蓋然性は高いように見える。

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北越コーポレーションは、買収防衛策を導入しているため、現状では大王海運北越コーポレーションの株式を20%以上保有することが困難であるが、2019年の定時株主総会では買収防衛策更新議案の賛成率が60.86%にとどまり薄氷の可決となっている。今後、さらに大王海運保有比率が高まるようだと2022年の株主総会で買収防衛策を更新することは非常に難しくなる。

 

今年に入り北越コーポレーションの安定株主だった三菱商事保有比率が19.35%から4.04%まで大幅に低下していることもあり、買収防衛策がなくなれば、規模の大きい大王製紙北越コーポレーション敵対的買収をかけることが可能になるだけでなく、北越コーポレーション時価総額701億円)が大王製紙時価総額2,413億円)の株式24.3%を保有するという歪な資本関係は投資ファンドなどの格好の標的となる。

 

いずれにせよ、大王海運の買い増しは今後さらに大きな問題に発展する火種となりそうだ。今後の大王海運の動向には注視が必要だろう。

▷今日の関連株

  • 北越コーポレーション東証一部 3865)製紙業界5位、印刷・情報用紙と白板紙中心。新潟工場は競争力大。持分法適用会社の大王製紙とは対立が続く
  • 大王製紙東証一部 3880)製紙業界4位。紙・板紙主力「エリエール」ブランドの家庭紙首位級。創業家カジノ事件で北越コーポレーションの傘下入り

さばの塩焼への投資

▷さばの塩焼への投資

主にセブンイレブン向けに焼魚の総菜やおにぎりの具、缶詰などの水産加工品を卸している水産加工会社のSTIフードホールディングスが9月25日に東京証券取引所第二部に新規上場した。事業内容に目新しさは無く、売出価格にも割安感はなかったため見逃していたが、ツイッターでフォローしている投資家さんがSTIフードホールディングスについて「地味だがおもしろい」「ただの水産会社だと思っていると見逃す」という趣旨のツイートしているのを見た。

 

気になって調べてみるとセブンイレブンの「さばの塩焼」「ほっけの塩焼」などを手掛けている。さっそく最寄りのセブンイレブンで「さばの塩焼」を購入し、実食。

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脂がのっていて骨が無く、レンジで50秒温めるだけで皮目までしっかり美味しいさばの塩焼が税込289円で食べられることに、大袈裟ではなく「加工食品の進化」を感じた。この商品はSTIフードが2014年に独自開発した鮮度を保つ包装技術により、賞味期限を延ばすことが可能になりセブンイレブンで扱われるようになったとのこと。

 

自分も焼魚を食べたくなることはあるが、やはり家で魚を捌くのは大変で、臭いや煙、後片付けの問題もあり敬遠してしまう。外食が躊躇われる現状もあり、こうしたコンビニで気軽に買える美味しい焼魚には大きな可能性を感じる。

 

 

さてSTIフードホールディングスのファンダメンタルズ面だが、9月25日の終値2,050円ベースでPER23.17倍となっており上値余地に乏しい感じがしてしまう。しかしながら上場に合わせて公表した決算情報では、2020年5月に新型コロナウイルスの感染拡大の影響を考慮して保守的な業績予想を策定したとしているが、巣ごもり需要が追い風になっているような書きぶりで、上方修正もありそうだ。

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中長期的にも、十見社長は「足元では生産が需要に追いついていない。(上場で調達した資金は)関西での工場の新設投資に充てる計画だ。」「2023年12月期には2020年12月期予想の約2倍の500億円の売上高を目指す」と仰っており、更なる中食・総菜需要の拡大、生産能力の拡大でセブンイレブンだけではなくセブン&アイホールディングス傘下のスーパーマーケット等への採用も見込んでか、かなり強気の計画を立てている。

 

というわけで一見、地味な水産加工会社の上場と思いきや3年で売上高2倍を目指すというグロース株っぽい。身近なコンビニの商品ということもあり強い興味を持っている。「正々堂々」という社是もおもしろい。上場したてでまだよくわからない点も多いのでセブンとの関係や生産能力増強計画などについてIRへ近々電話してみたい。その際はまたブログにまとめようと思う。とりあえず今夜は夕飯で、ほっけの塩焼など他の製品も試してみたい。

▷今日の関連株

会社四季報注目銘柄-3944古林紙工

会社四季報注目銘柄-3944古林紙工

会社四季報蛍光ペンで気になった箇所をハイライトしながら読んでいる。主に業績予想記事・材料記事で気になった表記や、自社株を大量に保有していたり、投資ファンド光通信が大株主として登場している企業にハイライトを入れているが、こういうことをしていると、前号の会社四季報では大株主だったのにいなくなっていたり、逆に大株主として新たに現れたりしているととても気になる。

 

そうした大株主の異動という点で、今回気になったのが、お菓子・食品や日用品の箱(印刷紙器)などのパッケージ製品を手掛ける古林紙工という企業だ。古林紙工は、印刷紙器メーカーという事業内容の目新しさの無さ、20年前からほとんど成長していない業績などにより、実績PER5.63倍(今期は赤字)、PBR0.36倍で時価総額は48億円しかない。

 

しかし、日用品大手の花王に洗剤の紙箱などを古くから納めている関係で花王株を49.1万株(時価44億円)保有しているため、2018年頃からその歪さに目を付けたウルグアイ投資ファンドHORIZON GROWTH FUND」の標的になっていた。

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時価総額に対して過大な花王株を保有している古林紙工」

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だが、今号の四季報をみると、光通信が3.19%を保有する第6位株主となっており、これまで約5%を保有していたHORIZONが第10位以下の圏外となっていた。

 

HORIZONが2019年の古林紙工株主総会で、①195円の配当、➁1.4億円の自社株買い、③保有する自社株の消却、を求める株主提案をした際は、日本経済新聞によるインタビュー(『株主提案受けた老舗企業「短期志向の投資家に応じる必要ない」』)で古林紙工の古林社長は「当社としてはこうした短期志向の投資家の要望に応じる必要はないと考えた」「敵対的な提案で、ふざけるなというところだ。私はステークホルダー(利害関係者)の重要度をランク付けしている。従業員が最も大切でその後に顧客、経営者、株主の順だと考えているなどとかなり株主を軽視する発言をしていたが、新たに大株主となった光通信とはどのように付き合っていくのか、また光通信はこのような頑固な企業をどのように攻略するのか、注目していきたいと思っている。

 

個人的には、短期志向の投資家には株を持ってほしくないと思うならば、適正価格で全ての株式を取得してさっさと上場廃止にするべきだと思う。上場という制度を利用している以上、誰が自社の株式を取得しても文句は言えないはずだ。

 

簡単には企業体質は変わらないだろうが、大株主の異動はそうした企業体質が変わる一つのきっかけになる可能性はある。

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