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カワサキ(3045)について

カワサキ(3045)について

会社四季報秋号の通読を終えて、気になった企業の分析に少しづつ取り組み始めているが、今号で最も強い関心を持ち、さっそく分析にかかっているのが東証二部上場のカワサキだ。カワサキはドイツ製シェニール織物の高級ハンカチやタオル等を輸入し、それを販売している企業で、一見するとなんのおもしろみも無さそう。だが大株主に光通信(第6位株主 2.28%保有)が登場していること、発行済み株式の25.93%もの自社株を持っている点が目に留まった。

 

そこから有価証券報告書決算短信を確認してみると、おもしろいことに表向きには高級ハンカチ等の販売をしているカワサキの実態は、保有している倉庫の賃貸と、倉庫の屋根に設置している太陽光発電の売電を生業としている企業であることがわかった。

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セグメント別に業績をみても、高級ハンカチの「服飾事業」は慢性的な赤字で売上高も漸減傾向、倉庫の賃貸と太陽光発電の売電を行なう「賃貸・倉庫事業」の利益で「服飾事業」の赤字を埋めている形だ。2019年8月期にはついに「賃貸・倉庫事業」の売上高が「服飾事業」のそれを上回っている。

 

上場した2006年以降の有価証券報告書を読んでいくと、どうも2010年頃から服飾事業は不採算の直営店舗を閉鎖し、通信販売などによる販売を強化していく方針に転換したようで、どちらかというと撤退戦を進めている印象。一方で、賃貸・倉庫事業は積極的に新規倉庫の取得を進めており、2018年からは保有倉庫の屋根に太陽光発電パネルを設置し、売電を始めるなど積極的な投資を行なっている。

 

また、2018年2月に株式分割株主優待制度拡充を行なっているが、これは流動性時価総額を同時に上げる策であり、東証一部指定替えを狙っていそうなかんじがする。

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地味な企業だが、倉庫賃貸と太陽光発電という安定収益源があり、配当もまあまあ、株主優待で高級ハンカチも貰える。PER10倍、PBR0.5倍と割安で、債券的な株と割り切って保有しつつ、東証一部上場などのカタリストに期待するという投資は意外といけるかもしれないというのがカワサキを調べてみた印象だ。来週水曜日14日に本決算を発表するので、今期の業績予想にも注目している。

 

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