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会社四季報注目銘柄-3944古林紙工

会社四季報注目銘柄-3944古林紙工

会社四季報蛍光ペンで気になった箇所をハイライトしながら読んでいる。主に業績予想記事・材料記事で気になった表記や、自社株を大量に保有していたり、投資ファンド光通信が大株主として登場している企業にハイライトを入れているが、こういうことをしていると、前号の会社四季報では大株主だったのにいなくなっていたり、逆に大株主として新たに現れたりしているととても気になる。

 

そうした大株主の異動という点で、今回気になったのが、お菓子・食品や日用品の箱(印刷紙器)などのパッケージ製品を手掛ける古林紙工という企業だ。古林紙工は、印刷紙器メーカーという事業内容の目新しさの無さ、20年前からほとんど成長していない業績などにより、実績PER5.63倍(今期は赤字)、PBR0.36倍で時価総額は48億円しかない。

 

しかし、日用品大手の花王に洗剤の紙箱などを古くから納めている関係で花王株を49.1万株(時価44億円)保有しているため、2018年頃からその歪さに目を付けたウルグアイ投資ファンドHORIZON GROWTH FUND」の標的になっていた。

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時価総額に対して過大な花王株を保有している古林紙工」

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だが、今号の四季報をみると、光通信が3.19%を保有する第6位株主となっており、これまで約5%を保有していたHORIZONが第10位以下の圏外となっていた。

 

HORIZONが2019年の古林紙工株主総会で、①195円の配当、➁1.4億円の自社株買い、③保有する自社株の消却、を求める株主提案をした際は、日本経済新聞によるインタビュー(『株主提案受けた老舗企業「短期志向の投資家に応じる必要ない」』)で古林紙工の古林社長は「当社としてはこうした短期志向の投資家の要望に応じる必要はないと考えた」「敵対的な提案で、ふざけるなというところだ。私はステークホルダー(利害関係者)の重要度をランク付けしている。従業員が最も大切でその後に顧客、経営者、株主の順だと考えているなどとかなり株主を軽視する発言をしていたが、新たに大株主となった光通信とはどのように付き合っていくのか、また光通信はこのような頑固な企業をどのように攻略するのか、注目していきたいと思っている。

 

個人的には、短期志向の投資家には株を持ってほしくないと思うならば、適正価格で全ての株式を取得してさっさと上場廃止にするべきだと思う。上場という制度を利用している以上、誰が自社の株式を取得しても文句は言えないはずだ。

 

簡単には企業体質は変わらないだろうが、大株主の異動はそうした企業体質が変わる一つのきっかけになる可能性はある。

▷今日の関連株

  • 古林紙工東証二部 3944)印刷紙器のパッケージング総合大手メーカー。プラスチック包装材も手掛ける。中国現法拡大