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積水樹脂のキャッシュの行方

▷積水樹脂のキャッシュの行方

最近は毎日、寝る前に少しづつ6月26日に発売された「会社四季報夏号」を読み進めている。今回、四季報を読むうえで最も気を付けていることは新型コロナウイルスの影響が大きいところを避けるということである。ある程度、状況がコントロールされてきているように思うが、やはりいつ収束するのかわからないし、収束した後も社会が大きく変化し需要が回復しない可能性もあるからだ。

 

昨夜、四季報を読んでて気になったのが積水樹脂。道路に設置されている標識や柵などの道路資材を主に扱う積水化学工業系のメーカーである。四季報の今期業績予想はほぼ前年度並みでそれほど新型コロナウイルスの影響は大きくなさそう。

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長期業績推移をみても、過去20年間で営業赤字なし、最終赤字になったのも退職給付債務の積立不足を一括処理した2001年のみであり、景気変動に対する耐性が強いと思われる。営業利益率も2010年以降、13~15%と安定していて比較的高収益だ。

 

加えて、財務面でも魅力がある。総資産1,299億円のうち、現金419億円、売掛金214億円を持ち、これだけでもキャッシュリッチだが、長期性預金という形で215億円も現金が隠れている。ネットキャッシュは計779億円だ。

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「現金、長期性預金などネットキャッシュを779億円保有

優れた現金創出力と、豊富に保有する現金を使って、成長のためのM&Aをするも良し、株主還元するも良し、筆頭株主積水化学工業から自社株買いして独立するなど、いろいろシナリオが考えられるし、以前ブログで書いたビオフェルミン製薬のように、ゆっくりと利益成長し、かつバリューといった感じで、あまりエキサイティングな投資にはならないだろうが、良い投資になりそうな株である。

 

ちなみに2021年3月末まで200万株(48億円)を上限とする自社株買いを決めていることもポイントである。浮動株が少ないところに発行済み株式数の4.60%という比較的規模の大きい自社株買いが行われるため、今後は積水樹脂株の需給がタイトになりやすそうだ。

 

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