櫻護謨って、読めない?
▷櫻護謨って、読めない?
欅坂46が新たに櫻坂46となり、昨夜の放送からテレビ東京の冠番組も『欅って、書けない?』から『そこ曲がったら、櫻坂?』という番組名になった。週末は光通信の投資先180社を様々な投資指標から分析していた事もあり、番組を観ていて「そういえば光通信の投資先で櫻護謨という企業があったな」とぼんやり思い出した。
気になり始めて『そこ曲がったら、欅坂?』を見ながら櫻護謨の有価証券報告書を読んでいたが、これがなかなかおもしろい企業だった。
櫻護謨は、護謨と社名に付いている通り、1918年に航空機用ゴム部品、消防機器、油圧機器などの各種ゴム製品メーカーとして現在の世田谷区笹塚で創業。戦後はゴム製造技術を活かして日本初のゴム製消防用ホースの製造を始め、現在は、消防ホース、各種防災機材を扱う「消防・防災事業」、航空機やロケット関連部品、ゴム製工業用品を扱う「航空・宇宙、工業用製品事業」を2本柱にしている企業だ。
業績の方は、20年間営業赤字無しと安定してはいるものの、大きく成長しておらず、株式の売買が成立しないほどの流動性の低さが敬遠され、櫻護謨株は、時価総額45.8億円、前期実績PERで6.48倍、PBRで0.60倍にとどまっている。割安ではあるが、そこまで魅力がある株とは言い難い。
それではなぜ光通信は櫻護謨株を56,000株も取得し第5位株主になったのだろうか。
その答えの一つは、櫻護謨が保有する笹塚駅前の商業施設「笹塚ショッピングモール」の資産価値にあると思われる。櫻護謨は笹塚駅前に置いていた主力工場を1970年代に閉鎖、栃木県大田原市に移転させている。そして跡地をクイーンズ伊勢丹、ニトリなどをメインテナントとするショッピングモールとして再開発したのである。
これらの笹塚ショッピングモールの不動産評価額は、2020年3月期の有価証券報告書で63.4億円、つまり帳簿価額との差額35.8億円が含み益となっていることがわかる。不動産含み益を考慮して実質的なPBRを算出すると0.45倍だ。
おそらく光通信は、こうした不動産含み益まで考慮した株価の割安さ、20年間営業赤字無しで官公庁向けビジネスが大きいという事業のディフェンシブ性、流動資産比率の高さ、などを勘案して櫻護謨に投資を行なっているのだろう。
ちなみに今日、早速、櫻護謨の板を見てみたが、思っていた以上に流動性が低い。。。買おうと思っても売り板に「えいや!」とぶつけるしかなさそう。