【光通信ウォッチ】6345アイチコーポレーション
【光通信ウォッチ】6345アイチコーポレーション
バリュー投資家の端くれとして、国内最大級の規模でバリュー投資を行なっている光通信の動向については非常に強い関心を持っている。ただ光通信の投資先には一貫した特徴がありそうでない。一社一社をより詳細に分析していくことで何か発見があるのではないか、と考えたのでこれから不定期に光通信の投資先約180社を「光通信ウォッチ」としてざっくり分析していきたい。初回は6345アイチコーポレーションを分析する。
1.会社概要
アイチコーポレーションは埼玉県上尾市に本社を置く高所作業車メーカーで、主力のトラックマウント式と呼ばれる高所作業車で国内シェア6割強を握るトップメーカーだ。2002年に豊田自動織機と資本提携し、現在は同社の子会社となっている。
高所作業車は、電気・通信工事業界、レンタル建機業界の設備投資動向により需要が大きく変動する傾向にあり、同社の業績も波が大きい。しかし平均的に8~10%程度の営業利益率を維持している。海外売上高比率は2020年3月期で6.9%なので内需系企業だ。
2.光通信の投資目的
光通信は2018年9月末に議決権比率1.67%を持つ第5位株主としてアイチコーポレーションの株主名簿に初めて登場、そして2020年9月末時点では2.96%保有の第3位株主になっている。なぜ光通信はアイチコーポレーションの株式を取得したのだろうか。
まずは財務面だが、アイチコーポレーションの299億円(総資産の35.3%)にも上る多額の「預け金」に目を付けたのだと思う。この預け金は親会社豊田自動織機のキャッシュマネジメントシステム(CMS)による取引で預けられているものだ。このような少数株主の利益にならない過大な非収益資産に無言の圧力をかけ、株主還元させようとしているのではないか。
さらにアイチコーポレーションのネットキャッシュと時価総額の推移をみてみると、光通信が投資を開始したと思われる2018年3月~9月は、ちょうどアイチコーポレーションの時価総額がネットキャッシュを下回り始めた時期でもある。このことからネットキャッシュと時価総額を比較し投資判断に使っている可能性がある。
以上の点を総合すると、株主還元の余地が大きく、時価総額がネットキャッシュを下回るという明確な割安さに注目し、アイチコーポレーションへの投資を決めたのではないかと推測する。
3.感想
11月27日のアイチコーポレーションの終値は936円で時価総額は743億円。株価の上昇で時価総額がネットキャッシュよりも小さい状況は是正されている。また2020年3月~9月の半年間で光通信の保有株式数は増えていないことからしばらく買い増しは行わなそうだ。
極端な割安さは解消されたものの、以下の点はおもしろく、さらに分析してみる価値はありそうだ。