株主総会招集通知
▷株主総会招集通知
6月は株主総会のシーズンである。定時株主総会は、一般に、期末から3か月以内に開かれるため、3月決算企業が多い日本では6月が株主総会のピークとなる。今年は上場企業約2,200社が6月中に株主総会を開催する。
株主総会に先立って、株主のもとには「株主総会招集通知」が届けられるのだが、意外とこれが重要。なぜなら、3月31日時点の株主構成が最も早く公表されるのが、株主総会招集通知だからだ。株主構成は、時価総額が小さい企業であれば、株式の需給に大きな影響を及ぼすこともあるし、時価総額が大きい企業でもその後の投資のヒントになるため、非常に重要な情報であると思っている。
例えば、2019年3月期のユニゾホールディングス。2019年5月28日に提出した株主総会招集通知で3月末の株主構成を公表したが、ここでそれまで株主名簿に名前がなかったエイチ・アイ・エスが筆頭株主になったことが判明した。その後、2019年7月10日にエイチ・アイ・エスが1株3,100円で敵対的TOBを開始し、最終的に1株6,000円のTOBになった。もし株主総会招集通知で変化に気づき、エイチ・アイ・エスのTOB前(株価は1,700~2,000円)に買うことができたなら、3倍以上になった計算だ。
このような敵対的TOBは、そう頻繁に見られるものではないが、株主総会招集通知や、株主総会後に提出される有価証券報告書の株主構成をヒントにするのも一つの投資法だろう。
ちなみに光通信会長の重田康光氏の息子、光時氏が、3月17日に東証ジャスダック上場の松本油脂製薬の株式を5.83%保有していることが判明したので、僕もコバンザメ投資法で松本油脂製薬に乗った。自社株を除く時価総額330億円に対して正味流動資産を414億円保有している割安さ、同業他社を上回る営業利益率(5年平均)16.8%という収益性の高さ、浮動株が極端に少なく重田氏が買い増しを続けると株式の需給がタイトになりそうなこと、
そしてなにより、重田氏が大株主になったことで、これまで安定株主に守られ、株主を軽視してきた会社側の姿勢が変わるかもしれないという期待がある。
自分の投資先の大株主はどんな状況なのか、なぜ大株主になっているのかまで掘り下げて調べてみると、会社の歴史、会社の考え方、これからどうなるのかまで見えてくるかもしれない。株主構成は常に注意して見ておきたい情報である。
「これが株主にいたら要注意という株主」
旧村上ファンド系
- レノ(シティインデックスイレブンス、南青山不動産等の名義も使用)・・・旧村上ファンドの村上世彰氏の投資会社。株主提案や敵対的TOBで、経営陣に圧力をかけることが多い。
- エフィッシモ・キャピタル・マネージメント・・・旧村上ファンドの3人が独立。レノと同じく「物言う株主」。リコー、川崎汽船などに投資。
- ストラテジック・キャピタル・・・旧村上ファンドの丸木強氏が設立した投資会社。同じく「物言う株主」。蝶理、京阪神ビルディング等に投資。
外資系アクティビスト
- アセット・バリュー・インベスター(AVI)・・・イギリスの投資ファンド。TBSや帝国繊維に投資するアクティビスト。
- オアシス・マネジメント・カンパニー・・・香港を拠点に世界中に投資するアクティビストファンド。東京ドーム等に投資。
- ダルトン・インベストメンツ・・・米国の投資ファンド、約4,000億円を運用。アクティビストファンド。
光通信系
- 光通信(ブロードピーク等の名義も使用)・・・東証一部上場。中小型割安株に投資。
- 重田康光・・・光通信会長。ジャストシステム等に投資。
- 重田光時(鹿児島東インド会社の名義も使用)・・・光通信会長の重田康光氏の息子。ヤシマキザイ、松本油脂製薬等の中小型割安株に投資。