ラピスラズリの青

主に自分の好きなものや興味のあることと企業をからめて

【決算ウォッチ】ビオフェルミン製薬 2021年3月期3Q

【決算ウォッチ】ビオフェルミン製薬 2021年3月期3Q

現在、ポートフォリオの主力に据えているビオフェルミン製薬(4517)が1月21日に2021年3月期第3四半期決算を発表した。ビオフェルミン製薬大正製薬ホールディングス(4581)が63.8%を出資する子会社であり、販路も完全に一体化していることから、いつ親子上場解消のTOBがかかっても不思議ではない。今回の決算発表に合わせてのTOBはなかったが、簡単に同社の第3四半期決算をチェックしたい。

 1.決算概要

f:id:enterprise-research:20210121175458p:plain

f:id:enterprise-research:20210121175712p:plain

売上高8,119百万円(前期比▲13.0%)、営業利益2,139百万円(同▲22.7%)で大幅減収減益。

通期業績予想に対する進捗率は、売上高で74.3%、営業利益で98.1%、当期純利益で101.4%となった。当期純利益では通期予想を超過しているが従来の業績予想を維持した。

 2.事業動向

f:id:enterprise-research:20210121131204p:plain

ビオフェルミン製薬は、乳酸菌を主成分とする「ビオフェルミン」ブランドの各種の整腸剤を扱う製薬会社である。ただ、製薬会社とは言っても一般大衆向製品が売上高の約70%を占めており、新薬の研究開発などへの投資はあまり必要とせず、一方で重要なのは一般消費者から選ばれ続けるためのブランドへの投資である。

f:id:enterprise-research:20210121135654p:plain

そのため、広告宣伝費は売上高の15~20%近くにも上る。そしてこれまでのこのブランドへの投資が25%を超える高い営業利益率を可能にしているわけだ。

f:id:enterprise-research:20210121205131p:plain

(過去20期で営業利益率20%を下回ったのは2000年の19.6%のみという高収益)

また、広告宣伝費は、自社の裁量で調整可能なため、ビオフェルミン製薬はある程度は利益の水準を自社でコントロールできる会社と言っていい。緊急事態宣言下の今第1四半期決算(4~6月)が大幅増益だったのも、販管費の大部分を占める広告宣伝費を抑制したためだ。

今第3四半期決算は、外出自粛の影響とみられる売上高の減少がみられるものの、当期純利益では、新型コロナウイルスの影響を過大視している会社予想を既に超過。会社側としては、再度緊急事態宣言が発令されている足元の状況を考慮し、通期予想を据え置いたのだと思うが、自分は通期では当期純利益が1,800百万円[EPS150円]になると予想。(会社予想は1,560百万円[EPS130.42円])

そして目下最大の経営課題は、来月着工予定の新工場である。これまで溜め込んできたキャッシュの大部分を吐き出すことになる(全額自己資金で165億円の投資)わけで、こちらにも注目していかなければならない。

 3.まとめ&感想

  • 第3四半期決算は前期比で大幅減収減益。
  • コロナの影響等で売上高減少も、3Q期間の営業利益率は25.1%
  • 通期業績予想は超過も、会社側はコロナ感染拡大を慎重視。
  • 165億円投資予定の新工場が来月着工。

健康意識の高まりを背景に整腸剤市場は緩やかな成長()が続いており、ビオフェルミン製薬も同様に業績成長している。事業は過去の景気後退局面にも強く、コロナ耐性もある。長年のブランドへの投資が驚異的に高い営業利益率・現金創出力を実現させており、無借金経営かつ総資産の約半分が現金預金。

一方で、足元の株価はPBR1倍ちょうど。長期的にはROEに近いリターンが得られる債券だと思ってTOBがかかるまで保有を続けたいと思う。(明日は下がりそう。。。)

 今日の関連株