TOBに応募する法人株主について
▷TOBに応募する法人株主について
日本電信電話(NTT)は、9月30日から11月16日までの日程で行なっていたNTTドコモへのTOBが成立したと11月17日に発表した。
自分はNTTドコモの株主ではないが、「NTT-NTTドコモという最大の親子上場が解消され、親子上場解消の流れが加速するのか?」「NTTドコモの株主がTOB後に投資するのはどこか?」などが今後の投資のヒントになるのではないかと思い、注目していたが、10月21日に日本空港ビルデングから興味深いIRがあった。
つまり日本空港ビルデングは、保有している90万株のNTTドコモ株をTOBに応募し、投資有価証券売却益3,504百万円を計上する見込みであるというのだ。これはおもしろい投資ヒントになると思い、早速、その日のうちに各社有価証券報告書からNTTドコモ株を保有している企業がないかを調べてみた。
調べてみたところ、トヨタ自動車(743.1万株保有)、スズキ(298.6万株保有)、三菱電機(162.5万株保有)などの保有株式数が多く、売却益計上による業績へのインパクトが大きそうな企業としては名港海運(42.8万株)が浮上した。
名港海運は、名古屋港を拠点に港湾運送や倉庫事業を行なう企業だが、どういう繋がりかNTT東海移動通信網だった時代からNTTドコモの株式を保有している。
そして、名港海運は先日の第2四半期決算に「重要な後発事象」を記載した。それによると、NTTドコモ株42.8万株の売却益として1,563百万円を特別利益として計上する予定であることとのことだ。名港海運は今期3,650百万円の純利益を見込んでおり、その半分近くが投資有価証券売却益となるから業績へのインパクトはなかなか大きい。
TOBされそうな企業へ投資を行なうだけでなく、こうしたTOB応募に伴う投資有価証券売却益が得られそうな企業を探すというのもおもしろい投資法の一つかもしれない。今後もTOBがあったときに試してみたい。