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【決算ウォッチ】さくらさくプラス 2021年7月期1Q

【決算ウォッチ】さくらさくプラス 2021年7月期1Q

2020年10月28日に東証マザーズに、保育所の運営を行なう「さくらさくプラス」が新規上場した。公募価格2,330円に対し上場後初値3,435円という好調な出だしだったものの、最近は公募割れとなる2,200~2,300円台で低迷していたため買ってみた。12月14日に2021年7月期第1四半期決算を発表したので簡単に決算と同社の事業を見てみたい。

 1.決算概要

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売上高2,187百万円(前期比+33.5%)、営業利益29百万円(前期比+81.2%)の増収増益となった。一方で純損益は▲38百万円と赤字に転落した。

通期業績予想に対する進捗率は、売上高で22.7%、営業利益で6.2%、純利益で-3.5%

 2.事業動向

さくらさくプラスは、主に東京都において保育施設60か所(2020年7月末時点)の運営を行なっている企業である。近年、都市部の待機児童問題が深刻化する中で、同社は急速に保育所数を伸ばし成長してきた。

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さくらさくプラス2021年7月期第1四半期決算説明資料

保育所運営事業の事業特性として、国・自治体からの「運営に関する各種補助金」が売上高となり、保育所を新規開設した際には「設備投資に関する各種補助金」が営業外収益に計上される収益構造が挙げられる。また、開設直後は待機児童が多い0~2歳児クラスが多く、一方で3~5歳児クラスが少ないというクラス構成となる。これが各児童の持ち上がりにより5年程度で定員が埋まり収益が最大化するという特徴がある。

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さくらさくプラス2021年7月期第1四半期決算説明会資料

さくらさくプラスの場合、開設から3年未満の施設が44か所と多く、収益最大化まで数年を要するため営業利益が低水準であり、営業外収益に計上される新規開設時の「設備投資に関する各種補助金」に頼る部分が大きい。

 

今第1四半期は保育所の新規開設が無かったことが純損益▲38百万円へと赤字転落した要因だ。ただ第3四半期は、新年度となる4月に合わせて12か所の新規開設が予定されており営業外収益に約1,800百万円程度の補助金収入が計上されると推定される。(第2四半期、第4四半期にもそれぞれ1か所の開設を予定)

 

純損益が赤字転落したことから第1四半期決算の見栄えは悪いが、「期初の計画通りに進捗しています」という会社側の説明通りであると思われる。

 3.感想

  • 売上高は、国・自治体からの補助金であるため、事業環境は安定していて見通しやすい。
  • 同社は、開設から3年未満の保育所が全体の約6割を占めており、少なくとも収益最大化まで数年間は増収が見込める。
  • 入所している児童数で補助金の額が決まるため、今後新型コロナウイルスの感染が拡大し休園となっても補助金は支給される。
  • 保育所に特化した不動産ファンド事業も行なっており、その進展も期待される。

 

今後数年間の業績成長が見込め、新型コロナウイルスの影響もなく安定している割には、公募価格割れの2,329円、PER8.28倍まで売り込まれている。同業のJPホールディングス22倍、グローバルキッズカンパニー14倍と比べても割安だ。上場から月日が経ち同社の事業に対する理解が深まれば株価水準の訂正が進んでいくのではないだろうか。

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