▶2020年の投資環境
1月も中旬に入り、そろそろ2020年の投資環境や見通しについて一度、備忘録的に書いておこうと思う。
2020年1月10日現在で、
日経平均株価は23,850.57円となっており、
アベノミクスが始まって以来の最高値24,270.62円に迫る高値圏で推移している。これはPERで14.45倍、PBRで1.17倍にあたり、EPSが1,650円、
BPSが20,385円となっている。
アベノミクス相場では、
日経平均PERは11倍~16倍を推移しており、現状の14倍は特別の割高感はない水準である。米中通商摩擦が本格化してからは12~14倍をうろうろしているが、貿易協議で第一段階の合意に達するなど、
米大統領選を前に休戦状態という雰囲気だ。また2020年は、
中国経済、シリコンサイクル、工作機械受注がそれぞれ底を打つと見られ、政府の経済対策の効果やオリンピック効果もあることから、EPSは10%増益の1,815円を使う。PER11倍~16倍だと、
日経平均は
19,965円~29,040円というレンジが出てくる。
PBR面から言えば、
アベノミクス相場での
日経平均PBR1倍割れは2016年2月12日、2018年12月25日の2日間しかなく、ちょうど1倍にあたる
日経平均株価20,385円は強めのサポートラインとなるはずだ。PBR1.0倍からPBR1.4倍あたりで推移するとなると、
20,300円~28,539円くらいが想定レンジか。
前提となる日銀の金融政策を含めた
アベノミクスの政策変更には留意が必要だが、一応、2020年の
日経平均株価は
20,300円~27,000円を予想しておく。
<注目テーマ・注目株>
2.<親子上場解消>
2019年に
ヤフー・
アスクル間で親子上場におけるガバナンス上の問題が顕在化して以降、親子上場に対して注目が集まった。2020年は解消に向けての動きがさらに加速することが予想される。
イオンの連結対象で、上場している子会社は20社にも上る。それが原因で近年、「非支配株主に帰属する
当期純利益」の大きさが目立っている。地域事業子会社や、
イオンフィナンシャルサービス(
東証一部
8570)などは出資比率引き上げや完全子会社化される可能性。
ミサワホーム中国(東証JQS 1728)
親会社のミサワホームが、トヨタホームのTOBで2019年末に上場廃止。一時は10社が上場していたミサワホームグループも、残る上場企業はミサワホーム中国だけに。
東映アニメーション(東証JQS 4816)
2019年は『機動戦士ガンダム』の版権を持つ創通がバンダイナムコのTOBで上場廃止に。『ドラゴンボール』『ワンピース』『プリキュア』など良質なコンテンツを保有する同社も親会社の東映によって完全子会社化される可能性。
3.<不動産>
東京オリンピックに向けた開発が一巡することから、不動産市況は悪化するという意見もあるが、1990年代以降のオリンピック開催都市の多くで開催から2年程度は不動産株やREITは底堅く推移する傾向にあるらしい。低金利環境の継続、ユニゾホールディングスに対する敵対的TOBなどもあり、不動産株の大崩れは考えづらい。
平和不動産(東証一部 8803)
野村不動産ホールディングス(東証一部 3231)
京阪神ビルディング(東証一部 8818)
ダイビル(東証一部 8806)
東急不動産ホールディングス(東証一部 3289)に注目。
4.<国土強靭化>
2019年は台風15号・19号など自然災害が相次いだ。これに対し、政府は2019年12月に決定した13兆円の経済対策でも、国土強靭化や災害復旧に多くの予算がつけた。これは東京オリンピック関連の建設需要が一巡した後の「需要の空白」を埋める効果がありそう。ゼネコンは全体的に悪くない気がするが、建設コンサルのFCホールディングス(東証JQS 6542)、建設技術研究所(東証一部 9621)を推しておく。
5. <選挙>
衆院議員の任期満了は2021年10月だが、選択肢が狭まる前に2020年のどこかのタイミングで衆院解散が行われる可能性がある。桜を見る会、IR汚職で騒がれてはいるものの、オリンピック閉会後の解散が噂されている。財務が良く、株主還元期待もある選挙関連株としてプラップ・ジャパン(東証JQS 2449)を挙げたい。
これだけ挙げたからには数社は予想を当てたいところ。基本的には今年も相場が悲観的な局面で買い向かい、成長性に対してバリューor収益・資産に対してバリューなポートフォリオで戦えたらいいですね。ちなみに年始に増資して、新たに東日本旅客鉄道(東証一部 9020)を買いました。