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マクロミル

マクロミル

インターネットによる市場調査を行うマクロミルの株価が安い。今日の終値でPER8.11倍、PBR1.20倍。直近3期平均で売上高が10%以上伸びていて、市場調査ビジネスが景気変動による影響を受けにくいことから言っても、なぜこんなに売られているのか。

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マクロミルは、2004年に東証マザーズに上場したが、経営基盤強化のため、約470億円で2014年に投資ファンドベイン・キャピタルの傘下に入り、一旦、上場廃止となった。上場廃止となってからは、オランダの同業を買収するなどし、海外展開を進めた上で、3年後の2017年に再上場した。再上場時の公募時時価総額は約800億円だった。そして今日の終値では時価総額は約360億円である。やはり過去の時価総額で比較しても安い。

 

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成長力も収益力も高いマクロミルだが、懸念点はB/Sが非常に汚いことだ。上場前に行なった買収などに絡む、借入金が多く、また資産に占める「のれん」の割合が非常に大きい。無形資産の一種である「のれん」は企業がM&Aを行う際の買収額と被買収会社との差額であるが、マクロミルの場合は、ベイン・キャピタルマクロミルを買収した際に利用したペーパーカンパニーBCJ‐11、BCJ‐12)とマクロミルが合併しているので、ペーパーカンパニーの「のれん」を引き継いでいる。そのため、「のれん」の源は自社である。

 

マクロミル国際会計基準IFRS)を適用しているので、「のれん」の定期償却は必要ないが、収益力が悪化すると「のれん」を減損しなければならない。2019年6月期で「のれん」が総資産の約6割を占める486億円。この歪な財務構造が投資家から敬遠されている可能性はある。

 

ただ、「のれん」の減損が必要なほど収益力が悪化しているとは思えず、借入金も順調に返済してきている。2020年6月期は投資先行期で一時的に減益となる計画だが、来期以降の成長軌道への復帰が明確になれば、後から見ればここが買い場になるのではないかと思う。

 

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