プレサンスの先行き
▶プレサンスの先行き
今週16日、学校法人明浄学院の土地売買契約を巡る横領事件で、東証一部上場のマンションデベロッパー「プレサンスコーポレーション」の山岸社長が逮捕された。1997年に同社を創業し、2018年にはマンション販売戸数で住友不動産に次ぐ業界2位にまで上り詰めた手腕が評価されていただけに、今週一週間で株価は約3割下落した。
もともとPER5倍台という割安さだったが、株価下落によりPERは3.5倍まで低下。今期以降のマンション販売も大部分が契約済みで業績に直ちに影響が出るわけではないということから、2日連続ストップ安なら「買い」だと思って待っていた。
実際には2日連続ストップ安にはならなかったし、調べてみると思っているよりも事態は難しいようなのでわざわざプレサンスを買うのはやめた。
第一に、宅地建物取引業法の規定では、役員や法人の有罪が確定すると宅建業免許が取り消され、5年間再取得できなくなるらしい。おそらくプレサンスは免許取り消しになる?
第二に、ツイッターで、プレサンスに関して「不動産会社は財務が良くても資金借り入れが難しくなるとやばい」「その好例が2008年に潰れたスルガコーポレーションがある」というツイートを見た。スルガコーポレーションは、都心の一等地にある権利関係が複雑なビルを売買しながら急成長した不動産会社だが、保有しているビルの入居者の立ち退き交渉を、山口組系暴力団に近いとされる不動産仲介会社(実質的な地上げ屋)に委託していたことが2008年3月に判明。取引銀行が反社と関わったスルガコーポから融資を引き揚げたことで、2008年3月期に最終黒字78億円、自己資本は545億円(自己資本比率43.9%)もありながら、同年6月に資金ショートし経営破綻した。
プレサンスの方は、取引銀行が融資を引き揚げるほどの問題ではないように見えるし、不動産市況も良く、超低金利も続いているため、スルガコーポのようにはならない可能性が高い。しかし、フージャース(東証一部 3284)だったり、オープンハウス(東証一部 3288)だったり、割安な不動産開発会社は株式市場にたくさんあるわけだし、わざわざ今後が不透明なプレサンスを買わなくてもいいと今は考えている。
今後は、プレサンスの発行済み株式の40%にも上る山岸社長の保有株の行方が焦点になるが、ここでオープンハウスなんかが株式を引き受けたらおもしろい。メインバンクはどちらも三井住友銀行だ。