広大な社有林を持つ企業
▶広大な社有林を持つ企業
紅茶国内最大手の三井農林の決算公告。
日東紅茶の三井農林、2019年3月期決算公告、売上高260.58億円、営業利益7.50億円、経常利益8.07億円、最終利益6億円、三井物産の子会社 pic.twitter.com/pnYpqjr6Ki
— ありゃりゃ (@aryarya) 2019年7月24日
利益は出ているが、純資産が▲58億99百万円とマイナスなので、債務超過状態。三井物産が100%親会社であり、後ろ盾があるから潰れはしないが財務が悪い。このような財務状況なのは、バブル期に行なった不動産開発が失敗した傷を今でも引きずっているから。
こんなだけど、三井農林は三井合名会社(戦前に三井財閥系企業を束ねた持株会社)の林業・製茶事業が独立してできた名門企業。
同じく財閥の林業事業が独立した企業としては、住友財閥の住友林業があるが、こちらも住友本社の林業所が戦後に独立した形だから、住友財閥本社直系の名門。
林業は、木の成長とともに価値が増殖し、木材相場が有利な時に木を切ればいいため安全な資産だった。そのため三井財閥や住友財閥は、なにかあった時にも最後に残る事業として財閥本社で直接、林業事業を行なった。
住友林業は、三井農林とは異なり、今でも健在で、広大な社有林を保有し続けている。
安定的な資産というだけでなく、ESGやSDGsなど、年々、環境や持続可能性に注目が集まる中、企業がその責任を果たす方法の一つとして社有林の有効活用というのがあると思う。企業だけでなく、国土の約7割を森林が占める日本においては、これをどう活用するかというのも重要になってくる。
政府は2024年から「森林環境税」を1人当たり1,000円徴税し始めるらしいので、徴税する以上、これもちゃんと森林活用・維持のために使ってほしいですね。
(上場企業はもっと保有社有林面積とか非財務データをわかりやすく公開してほしいです、調べるの大変だった)
▶今日の関連株
- 王子ホールディングス(東証一部 3861)明治時代から製紙に必要な原料を確保するため、国内最大の19万haの森林を保有。
- 日本製紙(東証一部 3863)製紙に必要な原料を確保するため広大な森林を保有。国内外で18万haの森林を持つ。
- 住友林業(東証一部 1911)別子銅山で必要な薪炭・木材を調達するために、1691年に始められた銅山備林経営がルーツ。海外にも23万haの社有林を持つ。
- 三井物産(東証一部 8031)鉄道の枕木などに使われる木材確保のため、明治時代から森林取得を始める。北海道から九州まで各地に社有林を持つ。
- 特種東海製紙(東証一部 3708)明治時代に静岡県最北端(尖がった部分)に社有林を取得、以来、継続して保有している。
- 東京電力ホールディングス(東証一部 9501)大正時代に水力発電のため、広大な森林を取得。尾瀬国立公園の約4割を保有。