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パックマン・ディフェンス

パックマン・ディフェンス

enterprise-research.hatenablog.com

前回、前田建設工業による前田道路への敵対的TOBについて、今後、6パターンの展開がありそうだと『前田道路の行方は?』で書いた。今のところ、前田道路は総額535億円という巨額の特別配当を行なうことを前田建設工業からのTOBの対抗策としているがもし特別配当議案が否決されると、今度は新たな買収防衛策として「パックマン・ディフェンス」を行なう可能性がある。

 

パックマン・ディフェンスとは、買収を仕掛けてきた企業に、逆に買収を仕掛けるという対抗策である。ナムコ(現‐バンダイナムコ)の『パックマン』はパックマンがモンスターから逃げるというゲームであるが、特定のアイテムを獲得すると、モンスターと立場が逆転しモンスターを撃退することができることが由来になっている。

 

特に日本では商法の規定により、前田道路前田建設工業の議決権の25%以上を取得すると、前田建設工業が持つ前田道路株24.68%の議決権を消滅させることができる。また前田建設工業時価総額1,796億円)と前田道路(同2,911億円)では買収を仕掛けられている前田道路の方が時価総額が大きいため、有効な対抗策となる可能性がある。

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前田建設工業は議決権割合が20%以上になる買付行為に対して買収防衛策を導入しているが、①意向表明書の提出、②情報の提供、を行なえばこの問題はクリアできるはずだ。資金面でも、前田道路前田建設工業の議決権を追加取得し、25.00%にするために要するのは多くて550億円ほどである。前田道路に出せない金額ではない。

 

前田道路が特別配当や、NIPPOとの資本業務提携まで持ち出して前田建設工業TOBに反対する理由の一つが(時価総額で見ると)自分たちの方が大きいという意識があるのではないかと感じる。日本ではパックマン・ディフェンスの前例はないが、当然、前田道路経営陣の頭の中にある選択肢であるだろう。やはりこの敵対的TOB、なかなか目が離せない展開となりそうである。

 

▷今日の関連株

  • 前田建設工業東証一部 1824)準大手ゼネコン。脱請負を掲げ、高速道路運営などの新分野に積極的。買収防衛策あり。
  • 前田道路東証一部 1883NIPPOに次ぎ道路舗装業界2位。小型工事が安定収益源。無借金。前田建設工業の持分法適用会社。