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前田道路の行方は?

▷前田道路の行方は?

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前田建設工業が行なっている前田道路への敵対的TOBについて最近、ブログを書いたが、やはりなにかこのTOBに絡んで大きな利益をあげられるチャンスがありそうな気がしてならない。前田建設工業は以下の条件で前田道路TOBを行なっているが、

  • 価格:1株3,950円
  • 期間:1月21日~3月12日(36営業日)
  • 買付上限:51.00% 買付下限:なし

1株3,950円でTOBをかけているにも関わらず、今日3月3日の終値はそれを大きく下回る3,175円となっている。

f:id:enterprise-research:20200303191211p:plain前田建設工業TOBを開始した翌日は3,835円の高値を付け、以後も2月19日までは3,600~3,700円で推移していた。そしてTOB価格との乖離が大きくなり始めたのが、2月20日。2月20日前田道路前田建設工業TOBに対抗して総額535億円の特別配当を行うと発表した日である。つまり市場は、特別配当が行われることで前田建設工業TOBを撤回してしまうことを警戒しているということになる。

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スケジュールを確認すると、明日3月4日が特別配当の是非を問う臨時株主総会の権利付き最終売買日(明日の時点で前田道路の株主であれば、総会に出席できる)であり、臨時株主総会で特別配当議案が可決されれば、1株650円の特別配当を受け取ることができる。一方で、来週12日が前田建設工業TOB期間終了の予定日である。

 

どう動けば、利益を得られそうか状況を分けて考えてみた。

 

1.「前田建設工業TOBを撤回しないケース」

→1.1「前田建設工業は前田道路株の51.00%取得」

→→1.1.1「4月14日の臨時株主総会で特別配当可決」

A:既存株主は特別配当を得られ、前田道路は前田建設工業の子会社になる。前田建設工業にとってはBPSを大きく上回る額でのTOBとなり将来的なリスク。

→→1.1.2「4月14日の臨時株主総会で特別配当否決」

B:既存株主は特別配当を得られない。前田道路は前田建設工業の子会社になる。前田建設工業にとって最も良いシナリオ。

→1.2「前田建設工業は前田道路株の51.00%未満を取得」

→→1.2.1「4月14日の臨時株主総会で特別配当可決」

C:既存株主は特別配当を得られる。前田建設工業にとっては、BPSを上回る価格でのTOBで、前田道路を支配することもできない最悪のシナリオ。定時総会でまたひと悶着か?

→→1.2.2「4月14日の臨時株主総会で特別配当否決」

D:既存株主は特別配当を得られない。前田道路の魅力は損なわれないので、前田建設工業は子会社化のため再TOBをかけられる。定時総会でまたひと悶着か?

 

2.「前田建設工業TOBを撤回するケース」
→2.1「4月14日の臨時株主総会で特別配当可決」
E:既存株主は特別配当を得られる。前田建設工業にとっては配当後の資産に応じた価格で再TOBの可能性大。
→2.2「4月14日の臨時株主総会で特別配当否決」
F:既存株主は特別配当を得られない。前田建設工業は再TOBをかける可能性大。前田道路は新たな対抗策を採れる(パックマンディフェンスなど)

 

こうしてA~Fまで状況に分けて考えると

  • 前田建設工業は特別配当議案を必ず否決できるのであれば、TOBを撤回せず、Bのシナリオを狙う。
  • 前田建設工業は特別配当議案を否決できるか微妙ならば、一旦、TOBを撤回、臨時株主総会の動向次第で条件を変更し再度TOBをかけ、EとFのシナリオを狙う。

という動きに出そうか。やはり既に前田道路株の24.68%を握っている前田建設工業側が圧倒的に有利な展開になると思われる。

 

投資家としては、前田建設工業TOBを撤回しないなら、特別配当権利落ち後に値下がりしている前田道路株を3月13日以降に買うのが良い?TOBを撤回するなら4月14日の臨時株主総会後に前田道路株を買うのが良い?

 

どちらにせよ、3月13日まで動かない方が良さそうなので、残念ながら臨時株主総会には行けないことになりそうですかね。

 

▷今日の関連株

  • 前田道路東証一部 1883NIPPOに次ぎ道路舗装業界2位。小型工事が安定収益源。無借金。前田建設工業の持分法適用会社。
  • 前田建設工業東証一部 1824)準大手ゼネコン。脱請負を掲げ、高速道路運営などの新分野に積極的。