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京阪神ビルディングへのTOB

京阪神ビルディングへのTOB

www.nikkei.com

旧-村上ファンドから独立した丸木強氏が率いる投資ファンドストラテジック・キャピタルは、11月4日に、関西圏でビル賃貸を行なう中堅不動産会社の京阪神ビルディングに対して以下の条件でTOBを実施すると発表した。

  • 買付価格:1株1,900円(直近30営業日の終値に対するプレミアム5.7%)
  • 買付期間:11月5日~12月17日(30営業日)
  • 買付上限:10,206,100株(自己株を除く発行済株式数の19.63%)
  • 買付下限:10,206,100株(自己株を除く発行済株式数の19.63%)

 

ストラテジックは、2017年に京阪神ビルディングの株式を取得して以降、役員の大半をメインバンクの三井住友銀行OBが占める状況や、資本効率の低さなどを改めるよう京阪神ビルディングに求めてきた。そうした経営改善の株主提案が2020年株主総会でも否決されたことから、今回、TOBによって株式を約3割まで追加取得し、発言権を高めるのが目的だとみられる。

 

ただ、調査してみたところ、京阪神ビルディングの株主は、持合株や取引先などの友好的な株主が多く、確認できただけで41.93%が友好的な株主だ。個人投資家が9.8%、ストラテジックを含めた外国法人等が16.9%しかおらず、ストラテジックが株式市場から追加で19.63%もの株式を、たったの5.7%のTOBプレミアムで集めるというのはかなり厳しいと思われる。

 

<参考>京阪神ビルディングの大株主の状況

株主順位 株主の氏名・名称 所有株式数(千株) 所有株式の割合 株主の概要
1 銀泉 6,440 12.39% 住友銀行系資産管理会社
2 インタートラスト トラスティーズ ジャパン アップ 2,887 5.56% ストラテジック・キャピタル
3 三井住友銀行 2,133 4.10% メインバンク
4 日本マスタートラスト信託銀行 1,930 3.71% 信託銀行
5 日本カストディ銀行 1,516 2.92% 信託銀行
6 サンシャインF号投資事業組合 1,500 2.89% ストラテジック・キャピタル
7 ダイキン工業 1,421 2.74% 株式持合。メインバンクは三井住友
8 きんでん 1,393 2.68% 株式持合。メインバンクは三井住友
9 鹿島建設 1,376 2.65% 株式持合。取引先
10 三重銀行 1,287 2.48% 株式持合。旧住友銀行と親密
- 百十四銀行 891 1.71% 株式持合。旧住友銀行と親密
- 三精テクノロジー 865 1.66% 株式持合。メインバンクは三井住友
- 愛知銀行 693 1.33% 株式持合。
- ダイビル 667 1.28% 株式持合。メインバンクは三井住友
- 大和ハウス工業 644 1.24% 株式持合。メインバンクは三井住友
- クボタ 447 0.86% 株式持合。メインバンクは三井住友
- 丸一鋼管 400 0.77% 株式持合。メインバンクは三井住友
- レンゴー 300 0.58% 株式持合。メインバンクは三井住友
- 明電舎 300 0.58% 株式持合。メインバンクは三井住友
- サノヤスHD 294 0.57% 株式持合。メインバンクは三井住友
- 能見防災 245 0.47% 株式持合。取引先
- 南海電気鉄道 204 0.39% 株式持合。メインバンクは三井住友
- ニチハ 148 0.28% 株式持合。メインバンクは三井住友
- 酉島製作所 125 0.24% 株式持合。
- ダイダン 123 0.24% 株式持合。取引先
- フジテック 107 0.21% 株式持合。取引先
- 戸田建設 641 1.23% 取引関係
- 関西電力 200 0.38% 取引関係
- 住友電設 129 0.25% 取引関係
- 日本電設工業 74 0.14% 取引関係
- 関西みらいFG 74 0.14% 取引関係
- 東リ 41 0.08% 取引関係
- セイノーHD 39 0.08% 取引関係
- 南海辰村建設 9 0.02% 取引関係

 

というわけで、ストラテジックTOBは成立しない可能性が高い。それではなぜストラテジックTOBに踏み切ったのか。

 

これは推測だが、おそらく京阪神ビルディング側に圧力をかけ、京阪神ビルディングに友好的なホワイトナイトによる対抗TOBや大規模な自社株買いを誘発しようとしているのではないか。その際には、TOB合戦となったユニゾホールディングスが参考になりそうだ。ユニゾHDのケースと照らし合わせて京阪神ビルディングの価値を計算すると、1株純資産1,324.49円に1株不動産含み益(税引後)977.21円を加えた2,301.71円が一つの目安となるだろう。

 

今日の終値2,177円からはそれほど上値余地はないが、今後、おもしろい展開になりそうなので注視していきたい。

 

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