ラピスラズリの青

主に自分の好きなものや興味のあることと企業をからめて

【決算ウォッチ】東京都競馬 2021年12月期2Q

▷【決算ウォッチ】東京都競馬 2021年12月期2Q

新型コロナウイルスの影響で競馬は無観客開催が続いているが、JRAの上半期の売上高は前年比101.5%と意外にも好調が続いている。地方競馬でも一部ではバブル期以来の過去最高の売上高を更新しているところもある。好調が続いている要因としては、政府からの特別給付金10万円の一部が回っているような気もするが、外出自粛下でも楽しめるレジャーとして競馬のネット投票が増えていることが大きい。

 

大井競馬場の大家であり、ネット投票システム「SPAT4」を運営している東京都競馬が7月31日に2021年12月期の第2四半期決算を発表したのでざっくりと見ていきたい。

 

1.決算概要

f:id:enterprise-research:20200801163459p:plain売上高131.08億円(前年比+18.6%)、営業利益49.19億円(同+45.3%)の大幅増収増益で、中間業績予想を4割近く超過して通過したが通期業績予想は遊園地事業の苦戦が見込まれることから据え置きとした。

 

2.事業動向

f:id:enterprise-research:20200802224049p:plain

東京都競馬2020年12月期第2四半期決算説明資料、2020年7月31日より

東京都競馬のネット投票システム「SPAT4」は全地方競馬のレースに投票することができ、SPAT4経由の投票が地方競馬の全馬券売上の実に4割に上っている。東京都競馬SPAT4経由の売上高に応じて一定の歩合収入を得ているため、SPAT4経由の売上高が前年比+70.7%と急増した今第2四半期は公営競技事業が大きく伸びた。

f:id:enterprise-research:20200801235150p:plain

公営競技以外の事業は、大型プールの「東京サマーランド」を運営する遊園地事業が新型コロナウイルスの影響を大きく受けそうだが、倉庫賃貸事業も安定していてあまり懸念材料はないように思える。

 

通期業績予想に対する第2四半期時点での進捗率は売上高 49.3%、営業利益 57.8%、EPS 54.8%となっている。

 

3.感想

f:id:enterprise-research:20200802221827p:plain

東京都競馬2019年12月期は、バブル末期で競馬ブームだった1991年12月期を超え28年ぶりに過去最高益を更新したが、今期も2年連続の過去最高益を達成できそうだ。近年の好調さは巣ごもり需要でSPAT4経由の売上高が伸びている等の一過性のものではなく、SPAT4という競馬とネットの融合を進めてきた企業努力と、若者や女性客が回帰し競馬人気が回復しているというトレンドが合わさった長期的なものであると思う。

 

帳簿上に現れない土地の含み益(純資産の66%に当たる443億円)や投票システムの優位性がありながらもPER20倍、PBR1.8倍ならそれほど高くないような気もする。明日の株価はどう推移するか、第3四半期も好調が続くかについて注目しておきたい。

 

▷今日の関連株