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親子上場解消は察知できるか?

▷親子上場解消は察知できるか?

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昨日7月28日は富士通フロンテック株が286円高(+22.4%)と急騰し、今日7月29日も60円高(+3.85%)で年初来高値を更新した。これまで富士通フロンテックの決算は親会社である富士通の翌営業日に発表されるのが慣例となっていたが、今期の第1四半期の決算発表が富士通富士通フロンテックともに7月30日に予定されていることから親子上場解消のTOBが発表されるのではないかという思惑的な買いが入っているようだ。

 

ざっと10年(40四半期)分の富士通富士通フロンテックの決算発表日を調べてみても、両社が同日に決算発表した四半期は一度もなく、(2営業日後が2回、6営業日後が1回あるが)基本的には富士通フロンテックの翌営業日に富士通が決算発表しているため、確かにいつもと違う。親子上場解消への思惑が働くのもわかる。

 

似たケースで記憶に新しいのは、2020年2月の三菱ガス化学による上場子会社日本ユピカ(46.15%出資)の完全子会社化TOBだ。

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「『話題株:菱ガスのTOB公表前に謎の急騰ー日本ユピカ』、Bloomberg、2020年2月6日」

2020年2月5日の場中にそれまで1,700円台で推移していた日本ユピカ株が14時頃から突如2,051円まで急騰ストップ高になり、取引終了後に三菱ガス化学が1株3,000円で完全子会社化を発表したことがあった。当初はインサイダー取引ではないかと話題になったが、どうやら14:00に発表するのが慣例となっていた三菱ガス化学の決算が出ないことに気づいた投資家が同日に決算発表を予定していた日本ユピカTOBされると察知したようだ。(詳しくはBloomberg話題株:菱ガスのTOB公表前に謎の急騰ー日本ユピカ』2020年2月6日)

 

もちろん必ずしも決算発表のタイミングから親子上場解消が事前に察知できるわけではないし、今回富士通富士通フロンテックを完全子会社化するのかも明日にならなければわからない。しかし決算発表のタイミングは一つの投資のヒントになることは間違いない。

 

自分は親子上場企業の中ではセコム上信越に最も関心を持っているが、今後はセコム上信越とその親会社セコムの決算発表日についても注意してみていきたい。(ちなみにセコム上信越セコムの前日に決算発表する慣例あり)

 

▷今日の関連株

  • 富士通フロンテック東証二部 6945)ATMや現金処理など金融・流通端末主力。公営競技の表示・発払機等も。製造柱はフィリピン
  • 富士通東証一部 6702)ITサービス、サーバーで国内首位。官公庁・金融・流通向け多い。非コア事業の分社化推進