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音楽のソニー

▶音楽のソニー

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最近、ソニー株の値動きが好調だ。現在、約17年ぶりの高値圏にある。まだ2000年のITバブル期に付けた史上最高値16,950円の半値以下だが、それでもテレビ事業や携帯電話事業でボロボロになった2012年の安値772円の約10倍となり、「ソニーの復活」を感じさせる。

www.nikkei.com

株式市場では、世界シェア4割のスマートフォン向けイメージセンサーの好調に加えて、金融、映画、音楽など事業環境の変化に左右されにくい事業の比重が高まったソニーを評価する買いが断続的に入っていると思われる。2009年からの10年間のセグメント別利益を見ても、金融、映画、音楽の安定感は抜群であることがわかる。そして中でもここ2、3年で成長しているのが音楽事業だ。同分野ではUniversal MusicWarner Musicと並び世界的な大手の一角を占めている。

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「金融・映画・音楽セグメントは安定して稼ぐソニーの屋台骨」

日本初のトランジスタラジオの開発など電機メーカーとして発展してきたソニーが音楽事業に参入したのは1968年。日本進出を狙っていた米CBS社と「CBSソニーレコード」を設立して日本国内の音楽事業に参入した(当時、外資は単独で日本に進出できなかった)。それから20年経ち、1980年代になると、ソニーは「ハードとソフトの融合」路線を歩むのだが、合弁相手だったCBSレコードの米国本社を1987年に買収。これにより、手に入れた世界的な事業基盤が現在のソニーの音楽事業の基礎になっている。

 

そして近年の業績拡大の原動力となっているのが、「スポティファイ」「アップルミュージック」といった音楽のストリーミング配信の市場が拡大していることだ。多数の良質な楽曲を保有しているソニーは、スポティファイなどのストリーミングプロバイダーと楽曲提供の契約をすれば、あとは楽曲が利用されるたびに収入が得られる。利益率が高く、継続して収益があがるビジネスなのだ。

 

そして、高速で低遅延な5Gの時代になればますますストリーミング市場は拡大すると見込まれる。この時代に適応するため、ソニーは2018年に発表した中期経営計画で「コンテンツIPの強化」を基本戦略に掲げ、近年、様々なIPを獲得して上乗せしている。

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2018年には同じく世界的大手の一角だったEMI Music Publishingを過去2番目の規模となる23億ドルで買収して、「クイーン」「キャロル・キング」(これくらいは僕でも知ってる)など200万曲を超える楽曲を取得した。

 

ソニーはストリーミングのプラットフォーマーにはなれなかったが、プラットフォーマーにコンテンツを供給するという新しいビジネスモデルが見えてきた。今後、音楽・映画・ゲーム・番組制作などでどのようなIPを取得していくのか、ソニーから目が離せない。

 

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