御経塚サティ
▷御経塚サティ
北國新聞9月13日朝刊が、野々市市のイオン御経塚店が2021年5月末で閉店する予定だと報じた。イオン御経塚店の近隣には、同じイオン系列のイオンモールが北陸最大級の「イオンモール白山」の開業を2021年夏に予定しているため、イオン御経塚店の動向が注目されていた。また跡地にはホームセンター「ムサシ」を運営するアークランドサカモトが複合商業施設の出店を予定しているとのことで、不動産登記情報を閲覧したところ、2月に土地の一部を取得していた。
イオン御経塚店は、1998年に総合スーパーのマイカルが「御経塚サティ」として開業したショッピングセンターで、マイカルが米映画大手Time Warnerと合弁で映画興行会社のワーナー・マイカル・シネマズを設立していたことから、店内には石川県で2つ目となるシネコンも設置された。
石川県内には今でこそ、金沢フォーラス(2006年開業)、金沢コロナワールド(2008年開業)、小松市にもイオンモール新小松(2017年開業)など複数のシネコンがあるが、イオン御経塚店(当時は御経塚サティ)が開業する以前は小規模な映画館が金沢市の中心部だけに集中している状況だったため、白山市、能美市、小松市辺りの住民にとっての映画館とは御経塚サティだったのではないかと思う。自分自身も幼いころに家族で観た映画は、御経塚サティ内の映画館でのイメージが強い。
マイカルはバブル期の過大な店舗投資が負担となり、2001年に会社更生法を申請し経営破綻。マイカルの店舗や映画興行子会社はイオンに引き継がれ、店舗は「サティ」から「イオン」へ。そして時代は変わり、消費者のニーズも総合スーパーから巨大なアウトレットモールへと変化していく。
需要の食い合いを避け、開業から23年が経ち老朽化したイオン御経塚店をスクラップし、より地域や顧客のニーズに合わせたイオンモール白山をビルドする経営判断は正しいし、コロナの影響でさらに時代は移り変わり、買い物はECへ、映画は動画配信サービスへとなっていくのだろうが、子供時代の思い出やワクワク感、味わいを担った場が変化していくのは少し寂しさを感じる。