秩父鉄道
関東地方を拠点にする私鉄の中で、上場しているのが10社ある。
10社の中で一番大きいのが、売上高1兆1574億円の東京急行電鉄(東急)で、
最も小さいのが、売上高52億円の秩父鉄道。
基本的には、どの私鉄も似たような経営をしているんだけど、この秩父鉄道というのがちょっと変わった鉄道会社でおもしろい。
▶秩父鉄道
秩父鉄道は、埼玉県の北西部の最も奥の「秩父」から北東部の「羽生」までを結ぶ約70kmの路線(赤と紫の線)で営業している。
普通の私鉄と違う点は、旅客列車だけでなく、貨物列車も運用している民間の鉄道会社であるという点。しかも親会社は太平洋セメントとちょっと変わってる。
秩父には、武甲山という日本屈指の良質な石灰石が採れる鉱山があり、その石灰石を原料に太平洋セメント以外にもセメント工場がこのエリアにいくつか立地している。
秩父鉄道が貨物をやっていたり、セメント会社が親会社な理由は、武甲山から掘り出した石灰石を太平洋セメントのセメント工場まで鉄道輸送している関係から。
セメントとともに発展してきた秩父鉄道だが、近年はセメント需要の減少により、同社の貨物輸送量も減っていて、鉄道事業は慢性的な赤字体質。
鉄道事業の赤字を不動産事業の黒字で埋めている格好。
「本業がパッとしない企業、不動産事業で生き長らえる説」
▶セメント工場と蕎麦
内陸型セメント工場は原料である石灰石の産地に立地していることが多い。
そして透水性の高い石灰岩の土壌は湿害に弱い蕎麦の栽培に適している特徴があり、しかもカルシウムが溶け出した美味しい水も採れる。
つまり、例外はあるものの「内陸型セメント工場=石灰石産地=蕎麦が美味しい」が成り立つ。
太平洋セメントの工場がある、この秩父も蕎麦で有名なところで、何軒も蕎麦屋がある。
今度からセメント工場を見かけたら蕎麦屋を探すようにしよう。
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