ラピスラズリの青

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コカ・コーラボトラー

北陸コカ・コーラボトリング

新聞を読んでて、北陸コカ・コーラボトリングの社長人事の記事を見つけた。

www.nikkei.com

 

井辻さんという方が”創業家”以外で初の社長に就くらしい。

 

コカ・コーラは、各地に「ボトラー」と呼ばれる、

製品の製造・販売だけを行う企業を置いていて、

北陸地域+長野県を担当しているのが、北陸コカ・コーラボトリング

 

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コカ・コーラ ボトラーズジャパン社HPより引用

 

歴史的な経緯とかがあって、ボトラー日本コカ・コーラや米国本社と資本関係が薄かったりする。

 

北陸コカ・コーラボトリングも、若鶴酒造という酒蔵が設立していて、

今も大株主だし、これまでの社長も若鶴酒造の稲垣家が務めてきた。

 

コカ・コーラシステム

炭酸飲料『コカ・コーラ』は、日本コカ・コーラ(米国本社100%出資)が原液を製造して、

各地で製品の製造と販売を担当するボトラーに原液が供給されるという構造になっている。

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コカ・コーラボトラーズジャパン社HPより

 この『コカ・コーラシステム』は、日本だけじゃなく、世界中で採用されているコカ・コーラのビジネスモデルで、こういう構造になったのにも理由がある。

 

コカ・コーラシステムの歴史

コカ・コーラ1886年に薬剤師ペンバートン博士が発明して、当初、ソーダファウンテン方式で提供していた。

 

1892年になると、キャンドラーという実業家が権利を買い取り、現在のThe Coca-Cola Companyを設立。

 

とても人気のある飲み物だったため、これを見て、コーラを瓶詰にして販売すれば、今よりも格段に事業として飛躍すると考えた事業家がいた。

 

その事業家たちは瓶詰にする権利を得て、瓶詰工場も建設したが、アメリカ全土に工場を作るだけの資金は持っていなかった、

 

だから、地域ごとに資本家を募って、それぞれの地域に独立したボトラーを設立する方法を思いついて、実行した。

 

これがコカ・コーラシステムの成り立ち。

 

 

 

戦後、コカ・コーラを日本市場に普及させるときも、「ヒト、モノ、カネ」の経営資源を容易に集められて、迅速に展開できることがメリットになるから、この方法が採用された。

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コカ・コーラボトラーは戦後、各地に設立され、そして統合が進んできた」

ボトラーの統合

上の図のように、17社あったボトラーは統合が進み、2019年には4陣営になっている。

 

普及を進める段階では有効だったボトラー方式は、普及という目的が達成されると、

逆に、規模の小ささによる固定費の高止まりなどによって経営効率が落ちるデメリットが目立ってくる。

 

これまで細かく市場を分けて製造・販売を行ってきた経営資源を最適化すれば、まだコストを下げる余地があるわけだし、市場の伸び悩み、他社の追い上げもあって、近年、ボトラーの統合は急速に進んだ。

 

その象徴とも言えるのが、

西日本のボトラーをまとめたコカ・コーラウエストと、東日本のコカ・コーライーストの経営統合(2017年)

www.nikkei.com

 

 

www.nikkei.com

 

この記事では、最近の値上げは

 

「統合以前は競争の激しい東日本エリアの「イースト」と西日本でシェアが高い「ウエスト」という構図だった。別企業とはいえ、扱うのは同じ商品。高いシェアを盾にウエストの地域のみ一方的に価格を上げるのはグループの戦略上難しい。統合ではこうした課題が解消され、物流費高騰など全国的な課題への対応として意思が統一できたというわけだ。」としている

 

統合して国内の販売量の9割を担うボトラーになったことで、こういう効果もある。

 

 

話は元に戻って、北陸コカ・コーラボトリング

 

当然、北陸コカ・コーラも物流費や他社との競争があって、厳しい。

 

新社長の井辻さんは、2017年まで日本コカ・コーラマーケティングの社長をしていた

 

 そういう人が北陸コカ・コーラの、それも創業家以外で初の社長になったということで、

北陸コカ・コーラコカ・コーラボトラーに統合する布石なんでは?」と思ったというのが、今回、『コカ・コーラボトラー』について書いたきっかけ。

 

今日の関連銘柄

コカ・コーラボトラーズジャパンHD東証一部 2579)‐国内ボトラー最大手

北海道コカ・コーラボトリング東証二部 2573)‐北海道ボトラー大日本印刷

サントリー食品インターナショナル東証一部 2587)‐日本市場でペプシを扱う

The Coca-Cola Company(ニューヨーク KO.N)‐いわゆる本社がここ