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電力会社10社体制

▶電力会社10社体制

今年の7月は雨の日が多く、涼しかった。前年7月が暑かった反動もあり、自分の家の電力使用量は前年比▲53%だった。8月も同▲9%。今年は電気代が安くて済む。問題意識はあるけれど、原発で発電していようが、石炭燃やしてようが、やはり電力料金は安い方が良い。これには異論がある人もいそうだが、2016年から日本でも電力市場は自由化されていて、そういう個々の考え方に応じて電力プランを選ぶことができる。選択肢があることが重要なので、電力自由化は大いに結構だと思う。

 

ところで投資の観点から電力自由化を見ると、どうも日本の電力会社10社体制というのはそう遠くない時期に崩れそうな気がする。日本に先駆けて、電力市場が自由化されたイギリス、ドイツの例を見てもそうだ。

 

イギリスでは、1990年代に世界に先駆けて電力市場が自由化され、自由化前は中央電力庁と12の地域国営電力局の体制だったのが、発電部門3社、送電部門1社、配電部門12社に分割民営化された。そして現在では、RWE(ドイツ)、E.ON(ドイツ)、EDF(フランス)、SSE(イギリス)、イベルドローラ(スペイン)、BG(イギリス)の6大グループに再編され、6大グループが9割以上のシェアを持っている。つまり国営の12社が6グループに再編されたわけだ。

 

そしてドイツ。ドイツには国営電力会社は存在しなかったが、自由化前は8大電力会社が独占的に電力事業を行い、総発電量の9割を発電し、配電していた。1998年からの電力自由化によって競争が激化し、競争力を維持するための買収・合併が繰り返され、現在ではE.ONRWEEnBWVattenfall(スウェーデン)の4社に集約されている。

 

イギリス、ドイツの前例では事業者が競争力を維持するために買収・合併によって、規模を拡大、電力事業者は集約された。既存の大手が競争力を維持していくために、やはり日本市場でも再編があるのではないかと考えている。

 

コストを削減し、賠償金を返済する原資を確保しなければならない東京電力原発事業や送電事業での他社との提携を打ち出している。実際に、火力発電事業は既に中部電力と統合されている。しかし他の電力会社からすると、賠償金を背負っている東京電力との提携には警戒感があるらしい。なので東京電力が動く前に、他社と合併して逃げるのではないか。他にも考えなければいけない条件はたくさんあるが、合併後も主導権を握れるという意味では、規模の大きい中部電力関西電力が規模の小さい北陸電力中国電力四国電力を狙う気がする。

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資源エネルギー庁電力自由化の小売自由化って何?』より」

 

買われる側の電力会社株は、基本的には「買い」だと思う。特に中部電力関西電力を天秤にかけれる立地の北陸電力は、バブル後最安値の株価水準でもあるのでトップピック。

 

▶今日の関連株

  • 北陸電力東証一部 9505)北陸三県に電力を供給。石炭火力、水力の比率が高い。