地銀の本店
▶地銀の本店
長引く日本銀行の異次元緩和による運用難に加えて、営業地域の人口減少などで地方銀行は厳しい経営環境にあることは世間に広く知られている。しかし意外にも、そんな環境の中で本店の建て替えに踏み切る地銀が多い。様々な理由があるが、日本経済新聞のこの記事によると、近年、活発になっている地銀同士の経営統合から「我が行は一線を置いていますよ」というアピールとしてという側面もあるようだ。
調べてみると直近5年で新本店を建設した、あるいは建設中の地銀は13行。県内に北陸銀行、富山第一銀行、富山銀行の3行があり、再編圧力が高い富山県でも、富山銀行が新本店を建設中だ。有価証券報告書によると新本店への投資額は約46億円。
高岡駅前に建設中の富山銀行本店ビルにこんな秘密があったとはね pic.twitter.com/JCu3bCEjRg
— かいちゃん (@kaitheduck) October 29, 2019
再編しないよアピールをするのはいいが全国最小規模の富山銀行が再編から無縁でいられるとは思えず、また、新しく見栄えの良い新本店を建てたところで業績に好影響はあるのか疑問だ。それどころか、新本店建物の減価償却費が増えるだけではないだろうか。ネットバンキングが普及し、銀行店舗に行くことが少なくなっているし、高岡市で賑わっているのはイオンモール高岡周辺で、富山銀行が新本店を建てている高岡駅前は人通りが少ないというのが実情である。
富山銀行と同じような経営規模の島根銀行は約59億円を投じて、新本店を建設したものの、後に新本店の減価償却費が経営を圧迫し、先月ついにSBIホールディングスの傘下に入ることを発表している。実質、SBIに救済された形だ。
SBIは全国の地銀と共同持株会社を設立し、地銀連合を作って「第4のメガバンク」構想を掲げている。SBIはこれからどう動くのか、富山銀行は荒波の中でどのような方向に進んでいくのか、注目していきたい。
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