ラピスラズリの青

主に自分の好きなものや興味のあることと企業をからめて

日本テレビタワーの価値

 日本テレビタワーの価値

www.nikkei.com

先月、電通グループ(4324)が港区・汐留にある本社ビル(地上48階建て、高さ210m)を売却を検討しているという報道があった。都心の一等地にあり、併設の商業施設や劇場を含めた売却額は、国内の不動産取引として過去最大となる3,000億円規模と想定されているとのこと。

電通本社がある港区・汐留は、旧国鉄・汐留貨物駅を再開発する形で2000年頃に生まれた街で、電通は1997年に土地17,225㎡を1,300億円で落札し、2002年に約800億円を投じて本社と商業施設、劇場を建設している。2019年12月期の帳簿価額は1,792億円なので約1,200億円程度の売却益が出る価格だろうか。

電通は売却で得た資金で事業構造改革や成長投資に充てるという。

 

f:id:enterprise-research:20210206201209p:plain

ところで、汐留の電通本社のすぐ向かいには、日本テレビホールディングス(9404)の本社「日本テレビタワー」(地上32階建て、高さ196m)もある。こちらも電通と同様に1997年に旧国鉄の土地15,658㎡を約1,000億円で落札し、約500億円かけて建てた高層ビルだ。放送局特有のスタジオ施設等があるが、将来的に賃貸オフィスとして転用できるように設計されているらしく、電通本社が約3,000億円ならば、日本テレビタワーもこれに近い価格で売却できるのではないか。

ざっくり試算してみても、日本テレビタワーの土地面積は15,658㎡で、令和2年度公示地価で最も近い地点である港区5‐17は11,000,000円/㎡であるので、土地部分の推定評価額は1,723億円、建物部分は複雑だが、控えめにみても計2,000億円くらいの評価だろうか。帳簿価額は1,290億円なので、700億円程度の売却益が発生しそうだ。

f:id:enterprise-research:20210207142824p:plain

「ネット換金性資産=現預金+営業債権+有価証券+投資有価証券ー総負債」

ただでさえ、日本テレビホールディングスは、ネット換金性資産(2020年3月期 3,835億円)が時価総額(3,632億円)を上回る割安な状態であるのに、日本テレビタワーや放送事業まで考慮に入れると、極端に割安な株価であると言える。

2月4日に発表した第3四半期決算を好感して、先週金曜日の株価は前日比+10.39%と急騰しているが、事業の強さや上記のような割安さを勘案すると、日本テレビホールディングスは買っておいた方がいいような気がしてならない。

 今日の関連株