コロナショック振り返り
▷コロナショック振り返り
コロナショックから約半年が経ち、4~6月期のGDPや各社の決算発表で様々な分野への甚大な影響が明らかになってきた。僕は2011年に株式投資を始めたが、コロナショックはこれまでに経験したことのない下げ幅、速度での暴落で、おそらく世界恐慌やリーマンショックと並び称される歴史的な相場だったように思う。今後いつか似たような暴落に直面した時のためにコロナショックを振り返っておきたい。
楽観<1月~2月23日>
日本経済新聞で「中国・武漢市で原因不明の肺炎患者」という報道が最初に出たのが1月6日。日本市場でも1月下旬頃から百貨店、化粧品などのインバウンド関連や航空、レジャー関連株が売られ始める。しかし感染者の大部分が中国国内に限られていたため、世界の株式市場は比較的楽観が続いていた。自分は年初にJR東日本を購入(後に大損することになる)
1月~2月23日の高値安値
- 1月 高値24,115.95円(17日)
安値22,892.95円(30日)
- 2月 高値23,995.37円(6日)
安値22,775.92円(3日)
暴落の始まり<2月24日~2月28日>
新型コロナウイルスが中国からアジア、欧州、中東などへと感染が拡大し始め、世界的な景気減速懸念から本格的に世界の株式市場が暴落し始めたのが2月24日だった。24日は振り替え休日で日本市場は休場、同日、自分は最寄りの映画館で乃木坂46BDL最終日のライブビューイングを鑑賞していたが、帰宅するとダウが1,000ドル安に。ライブの余韻に浸ることなく翌日の相場に危機感を覚える。日経平均は週間で-2,243.78円と大きく下げるも、まだ21,000円台。心理的にも余裕で構えていた。
含み損を出しすぎて落ち込んでいる投資家のための #ひなたのはげまし が必要な相場展開
— A.Takumi (@ta7ku2mi0847ja) 2020年2月26日
<週間終値>
- 日経 21,142.96円
-9.59%(週間-2,243.78円)
- ダウ 25,409.36ドル
-12.36%(週間‐3,583ドル)
-16.15%(53.38ドル→44.76ドル)
当局の対応を好感?<3月2日~3月6日>
市場の混乱を受けて3月3日に米FRBが臨時FOMCを開き0.5%の緊急利下げ(FF金利は1.00~1.25%)を決定。3月2日の日銀総裁緊急談話などもあり世界的な金融緩和への期待で買い戻しが優勢になった。しかし大統領選予備選で左派サンダース氏の躍進や新型コロナウイルスの感染が拡大による実体経済への影響が懸念され投資家のリスク回避姿勢は継続。個人的には、当局の対応策が発表され、また日経平均株価のPBRが1.00倍に近づいたことからこの辺で下げ止まるのではと考える。新規にコマツ、ブリヂストンなどの国際優良株をいくつか購入。
<週間終値>
- 日経 20,749.75円
-1.86%(週間-393.21円)
- ダウ 25,864.78ドル
+1.79%(週間+455.42ドル)
-7.77%(44.76ドル→41.28ドル)
下り最速<3月9日~3月13日>
産油国の協調減産協議決裂を受け、10日サウジアラビアが原油の増産を発表。11日トランプ大統領が欧州からの外国人入国禁止を発表。これらの材料で12日のダウはブラックマンデー、世界恐慌などに次ぐ過去4番目の下げ幅-9.99%(-2,352.60ドル)となる。恐怖が支配する株式市場において理性的な株価が付かない最も苦しい1週間、全ての銘柄が大幅安。リスク資産を持ちたくない投資家が断続的に投げ売り。振り返れば買うべきタイミングは理性が株価を形成していないこの週。
ぶっ壊れた市場を見てると興奮してくるね()
— A.Takumi (@ta7ku2mi0847ja) 2020年3月9日
<週間終値>
- 日経 17,431.05円
-15.99%(週間-3,318.70円)
- ダウ 23,185.62ドル
-10.36%(週間-2,679.16ドル)
-23.13%(41.28ドル→31.73ドル)
悲観と失望の継続<3月16日~3月20日>
3月16日ダウ平均は下落率-12.9%(-2,997.10ドル)となり過去2番目下げに。翌17日に日銀が前倒しで金融政策決定会合を開催、ETF買い入れ額を年間6兆円から12兆円へ倍増。しかし日銀の金融政策の手詰まり感や買い入れ増額効果への懐疑的な見方から株式市場は反発には至らず。各国の株式市場も景気減速への懸念が継続。これだけ毎日下げると下げに慣れてくる。今振り返れば、下げ相場からの反転時に見られる投資家心理。
約3,000ドル下げても、穏やかな気持ち
— A.Takumi (@ta7ku2mi0847ja) 2020年3月16日
<週間終値>
- 日経 16,552.83円
-5.04%(週間-878.22円、)
- ダウ 19,173.98ドル
-17.30%(週間-4,011ドル)
-29.31%(31.73ドル→22.43ドル)
絶望の後にくる反発<3月23日~27日>
あとはご存じの通り、前週終値16,552.83円から3営業日で19,000円台へと急回復。新型コロナウイルスが世界中に感染拡大していく中においても、FRBや日銀が打ち出した異次元の金融政策や米国の200兆円規模の財政出動への期待感により反転したと見られる。
<週間終値>
- 日経 19,389.43円
+17.14%(週間+2,836.60円)
- ダウ 21,636.78ドル
+12.84%(週間+2,462.80ドル)
-4.10ドル(22.43ドル→21.51ドル)
★感想&気づき
1.前例のない世界的な異次元の金融緩和&財政出動
市場機能は時に行き過ぎ、歯止めが利かなくなる、そうした行き過ぎを止められるのはやはり政府当局(金融政策&財政政策等)だということをコロナショックで再確認した。
またコロナショック前から世界的な金融緩和が行われていたが、3月以降FRBはゼロ金利へ、日銀も年間12兆円ものETF買い入れという更なる金融緩和策を打ち出しているし、金融危機時とは異なり金融システムが健全であることから、世界経済にリスクがある状況であってもやはり保有現金を減らし、株式、不動産、金などに投資するのが合理的であろう。
2.日経平均株価PBR1倍はワークする
コロナショック下で日経平均株価のPBRは0.82倍まで突っ込んだが「PBR1倍は長期的には強い支え」となることが今回も明らかになった。
3.暴落時は、普段は高すぎて買えない優良企業を買え
- 2413エムスリー(3月13日 2,319円→8月21日 6,400円)
- 4686ジャストシステム(3月17日 3,890円→8月21日 7,840円)
- 6164ディスコ(3月17日 17,570円→8月21日 25,110円)
- 6861キーエンス(3月17日 28,905円→8月21日 43,720円)
- 7974任天堂(3月13日 31,880円→8月21日54,700円
- 8035東京エレクトロン(3月23日 16,370円→8月21日27,975円)
4.二極化
不況期には全ての産業に影響が出ることが多いが、今回のケースでは食品会社、食品スーパー、ドラッグストア、ホームセンター、ゲーム、DX関連などが絶好調である。コロナショックからの反発局面でもこうした企業が大きく買われた。一方で、外食、航空、鉄道、ホテルは需要が消失し、今後も数年単位で影響が継続すると思われる。一見、割高でも買える企業割安、割安に見えても買えない企業という二極化が続くのではないか。
最後に、8月21日時点で自分のポートフォリオは年初来-7.3%。日経平均株価が年初来-3.1%なので若干アンダーパフォームしているが、年間でのプラス転換はそう遠くない位置まで戻している。大波乱のコロナショックで一時は年初来-35%まで突っ込んだことが遠い過去のようだ。今後は年間で多少プラスになれば御の字程度のスタンスで無理なくやっていきたい。