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TOB価格を上回るファミマ株

TOB価格を上回るファミマ株

www.nikkei.com

7月8日伊藤忠商事ファミリーマートを完全子会社化すると発表した。伊藤忠商事は、1998年に業績が悪化していた西友からファミリーマートの株式29.7%を取得してから、現在の50.1%まで徐々に出資比率を高めてきたが、競争が激化するコンビニ業界においてファミリーマートの事業をテコ入れするために完全子会社化に踏み切る。

 

ところが、今週(7月13日~7月17日)のファミリーマート株の値動きは伊藤忠商事TOBがすんなりとは成立しない可能性を示唆している。

  • TOB価格:1株2,300円
  • 買付予定数:上限なし、下限は9.9%
  • 買付期間:7月9日~8月24日まで(30営業日)

という条件でTOBを開始したのだが、ファミリーマートの株価は7月10日以降TOB価格である2,300円を上回って推移し続けている(7月17日の終値は2,395円)。これは伊藤忠商事の提示しているTOB価格が低すぎるため、不満を持つ株主がTOBに応募せず、TOBが成立しない可能性がある、つまりファミリーマートの完全子会社化を行なうためには伊藤忠商事TOB価格を引き上げる必要があると見ている株主がいることを示している。

 

そもそも今回のTOB価格の値決めには曲折があったようで、伊藤忠商事は3月2日にファミリーマートに1株2,600円でのTOBを提案しているが、その交渉の最中にコロナショックでファミリーマート株が急落したため、伊藤忠商事は2,000円(3月28日)、2,200円(5月14日)、2,300円(6月26日)とTOB価格を下げて再提案している。ファミリーマート側はこのTOB価格が低いとして、株主にはTOBへの「応募推奨を行なわない」という異例の事態となった。

 

わかりやすくすると下の図のような交渉が行われてきた。

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伊藤忠商事ファミリーマートを安く買いたいと思うのは当然だが、伊藤忠商事は2019年にもスポーツウェアのデサントに対してやや強引とも言える形でTOBを行なっている。伊藤忠商事のような大企業の行動は今後の前例ともなるだけに、コロナショックに乗じて安値で買い叩くのではなく、しっかりと交渉を尽くし、立場の弱い一般株主に配慮する姿勢を見せなければならなかったのではないか。

 

ちなみに伊藤忠商事は2,300円で買付を行なってくれるわけだし、TOB価格引き上げが行われる可能性に賭けて今週、ファミリーマートを100株だけ買ってみた。どうなるかはお楽しみだが、2,300円のTOBに応募するつもりはない。

 

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