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優良企業・ビオフェルミン製薬

▷優良企業・ビオフェルミン製薬

医薬品には、病院などで診察を受け、医師の処方箋をもとに調剤される「医療用医薬品」と、処方箋なしで消費者が薬局やドラッグストアで自由に買うことのできる「一般用医薬品」(大衆薬)とがある。近年、医療用医薬品の開発が複雑化し開発費が膨張する中で、第一三共アステラス製薬のように一般用医薬品事業の一部を売却し、医療用医薬品への経営資源の集中を進めている製薬会社が多い。また人口減少を背景に日本の大衆薬市場が長期的に縮小することが避けられないことから一般用医薬品最大手の大正製薬ホールディングスM&Aによって海外進出を加速している。

 

しかし縮小している日本の大衆薬市場においても、整腸剤市場は意外にも年率7%程度の成長を続けている。そしてその整腸剤でトップを走るのが「新ビオフェルミンS」を手掛けるビオフェルミン製薬であるのだが、これがかなりの優良企業。

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「20年間ゆっくりと売上高成長。この間の平均営業利益率は25.1%で赤字もなし」

2000年から2020年までの20年間で売上高は年率2~3%のゆったりとした成長であるが、この間、25.1%という驚異的な営業利益率の高さを保ち続けている。赤字もない。

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また販管費の大部分を占めるのは広告宣伝費であり、自社の裁量で調整可能な面が大きい。極端な話、広告宣伝を止めても売上高が変わらないとすると、2020年3月期の営業利益は51億円で営業利益率で言うと42.8%にもなる。製品の高い競争力が伺える。

 

現在、神戸に新工場を建設中だが、基本的にはそれほど大きな設備投資や研究開発費が必要なく、財務面も非常に優良。

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不慣れだが、DCF法でビオフェルミン製薬企業価値を算出してみたところ、事業価値は推定458億円。ここに保有している現金177億円を足すと企業価値は635億円となる。1株あたりにすると5,308円なので、現在の株価2,348円の約2.2倍である。

 

高い製品競争力を持ち、高収益・好財務、しかもゆっくりながらもしっかり成長している企業が現状PBR1倍割れで放置されている。割安で放置されつづけるのならば、株式の63.8%を保有する親会社の大正製薬ホールディングスビオフェルミン製薬を完全子会社化した方が良いのではないか。ビオフェルミン製薬の方が営業利益率(大正7.4%ビオ25.7%)やROE大正2.9%ビオ7.8%)も高いし、ビオフェルミン製薬の現金や現金創出力を大正製薬の海外M&Aに充てた方がよい気がする。

 

いずれにしても、ビオフェルミン製薬は割安。おそらくエキサイティングな投資にはならないが、良い投資になりそう。

 

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