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2005年の阪神

▷2005年の阪神

新型コロナウイルスの感染拡大でプロ野球は未だ開幕できていないため、NHKBS1では最近、過去の名試合をいくつか放送している。先日は阪神が2005年のセ・リーグ優勝を決めた試合の再放送をやっていた。自分がプロ野球を熱心に見始めたのが、2006~2007年からなので、憧れていた懐かしい選手が多く、阪神ファンではないが試合終了まで観てしまった。

 

ところで、この優勝を決めた試合、2005年9月29日に行われたのだが、この3日前の9月26日というのが、村上ファンド阪神電気鉄道株、阪神百貨店株の大量保有が明らかになった日なのだ。当時、優勝を決めても、阪神電気鉄道の経営陣は喜んでばかりはいられなかっただろうなあと思いながら観ていた。 

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阪神電気鉄道は、鉄道やバスなどの運輸事業が本業ながらも全社利益に占める運輸事業の割合は2割未満で、不動産や流通などで稼ぐ構造となっており、また、この頃の阪神電気鉄道時価総額は1,000億円ほどだったのに対し、村上氏は不動産価値だけで3,000~5,000億円を見込んでいた。株主優待として電車乗車券や阪神タイガース主催試合の指定席引換券を贈呈していたこともあり、個人投資家が約6割の株式を保有、一方で法人安定株主は少ないという株主構成上の脆さもあったことが村上氏を引き寄せたのだった。

 

村上氏は、2005年9月から阪神電気鉄道の株式を買い始め、9月26日に大量保有報告書の提出により、対外的に株の保有が明らかになる頃には既に26.67%を保有していた。村上氏が市場で大量に阪神電気鉄道を買っていたため、8月に800円台だった株価は村上氏が本格的に買い始めた9月16日にはストップ高1,060円まで急騰した。

 

阪神電気鉄道経営陣は、阪神タイガースの好調が株価急騰の要因と判断し対策を講じるのが遅れた。最終的に発行済み株式の52%を村上氏に握られ、万事休すと思われたところで、村上氏が証券取引法違反で逮捕。村上氏の保有株が阪急電鉄に譲渡され、現在の阪急阪神ホールディングスとなっている。

 

現在、阪急阪神ホールディングス時価総額が約1兆円。対して純資産が約9,400億円、不動産含み益が約2,700億円。狙われるほど割安でもないが、村上氏は著書『生涯投資家』で「阪神には思い入れが強い。株価やニュースでその後どのように成長しているかを見ている。」と書いている。市場から企業価値に見合った株価を付けてもらえる経営を続けなければまた狙われる日が来るかもしれない。

 

生涯投資家 (文春文庫)

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