御菓子城加賀藩
▷御菓子城加賀藩
石川県の加賀地方に住んでいる人なら、行ったことはなくても一度は「御菓子城加賀藩」の名を聞いたことがあるはずだ。金沢城に似た城郭がそびえ立っているので、国道8号線を走っていれば嫌でも目に入るお菓子の直営販売施設だ。
先日、国道8号線を走っていて、その御菓子城加賀藩を見かけたのだが、新型コロナウイルスの影響もあり、もう潰れてしまったのかと思うほど、広い駐車場は閑散としていた。インターネット上で調べてもあまり経営状況を窺い知れる情報はなく、そもそも誰がこんな派手な施設を作ったのだろうと疑問に思った。
日経テレコンで検索すると、御菓子城加賀藩は「金澤 福うさぎ」などを製造する菓子メーカーのだいいちグループが1971年に30億円をかけて建設したという記事があった。加賀市とその周辺には山中温泉や片山津温泉など4つの温泉地があり、高度成長期には主に関西地方からの社員旅行で大いに栄えた。1971年に開業した御菓子城加賀藩もそうした需要を見込んで建てられたのだろう。
ついでに御菓子城加賀藩の不動産登記情報もあげてみた。まず建物部分。
大喜製菓(だいいちグループの前身)とシージャパンが1987年(昭和62年)に新築。その後、2016年(平成28年)にデカンショパワーなる企業に所有権の216分の35(約16%)が移っている。
続いて土地の部分。
こちらも北川物産(創業者の資産管理会社か?)から2016年(平成28年)にデカンショパワーに所有権が移っている。
この「デカンショパワー」は、兵庫県の自動車ディーラー、ジーライオングループ傘下の不動産管理会社らしい。ジーライオングループのホームページにはグループ会社として御菓子城加賀藩が。おそらく土地・建物の所有権が移った2016年に御菓子城もここの傘下に入ったのだろう。
高度成長期に社員旅行のお土産を当てにして作られた御菓子城加賀藩。社員旅行なんてご時世ではなくなり、周辺の温泉地もかなり厳しい状況だが、ジーライオンにはなにか勝算があるのだろうか。