第2のユニゾ
▶第2のユニゾ
2019年7月にエイチ・アイ・エスが東証一部上場の不動産会社ユニゾホールディングスに1株3,100円で敵対的TOB(後に撤退)をかけてから、半年以上経つが、現在でも、ソフトバンク系投資ファンド「フォートレス」や世界的投資ファンド「ブラックストーン」、ユニゾ従業員と投資ファンド「ローンスター」が共同設立した買収目的会社が、3つ巴の様相で争奪戦を続けている。先週9日にも、ユニゾ従業員と投資ファンド「ローンスター」が共同で設立した買収目的会社が新たに1株5,700円のTOBを提案。2019年7月以前は1,800~2,000円台で推移していた株価は5,800円台を付けている。
各社がユニゾホールディングスを奪い合うのは、都心の一等地に優良不動産を多く抱え、2019年3月期に賃貸等不動産の含み益1,364億円があり、ここに純資産1,131億円を足すと2,496億円になる一方で、時価総額は570億円に留まっていたためだ。単純に純資産と賃貸等不動産の含み益を合算すると1株あたり7,300円近い価値があるため、まだ争奪戦は続くかもしれない。
ユニゾと同じ方法で、この賃貸等不動産の価値を加味した1株純資産(※修正PBR={純資産+賃貸等不動産含み益×0.7}/発行済み株式数)を計算してみると、日本の不動産会社は割安に放置されているものが実に多い。
やはりTOB前のユニゾは飛びぬけて安いが、ダイビルや東京建物はどちらも現在、まだ修正PBRで0.5~0.6倍台に留まっている。安定株主が少なく、外国人持ち株比率が高いことから、第2のユニゾとなりそうなのは東京建物だろうか。ダイビルも親会社の商船三井が財務改善のために売却するかもしれない。ユニゾの事例は、不動産を買うより、割安な不動産会社を買うという流れの序章に過ぎないのかもしれない。