ラピスラズリの青

主に自分の好きなものや興味のあることと企業をからめて

製紙業界の火薬庫

▷製紙業界の火薬庫

f:id:enterprise-research:20200323202557p:plain

今日は製紙業界5位の北越コーポレーション(2018年に北越紀州製紙から社名変更)の株価が+13%と急伸した。

 

北越コーポレーションは、大王製紙元会長・井川意高氏の「カジノ事件」後の2012年に井川家から大王製紙株の約20%を買い取り、大王製紙を持分法適用会社とした。一方で、両社の協業は上手くいっておらず、対立関係が長く続いている。そういった経緯の中で、大王製紙創業一族系の大王海運北越コーポレーション株を5.26%まで買い増し、今日、大量保有報告書が提出されたことから、敵対的TOBなどの思惑から買いが入ったと思われる。

 

大王製紙創業家の都合で、北越コーポレーションの持分法適用会社となったものの、売上高では「大王5,338億円>北越2,758億円」、時価総額でも「大王2,213億円>北越761億円」と、小が大を呑む形に不満を持っているのだろう。

 

f:id:enterprise-research:20200323210031p:plain

製紙業界は、王子ホールディングス(2019年3月期 海外売上高比率31.9%)を筆頭に海外で稼ぐ体制に変化しつつあるが、国内の紙の需要が減少していく中でまだまだプレーヤーが多く、業界再編は不可避である。大王製紙北越コーポレーションの関係は一触即発、ここが動けば製紙業界の再編は一気に進むだろうし、まさに製紙業界の火薬庫的存在だ。

 

 

ちなみに北越コーポレーションは、時価総額2,213億円の大王製紙株を24.39%(時価525億円分)保有しているのに、時価総額が761億円にとどまっている。対立が続く大王製紙を諦めて株を売却すれば、その資金で成長分野に投資したり、株主還元することもできるし、大王製紙を子会社化することができれば、家庭紙や紙おむつなどの成長分野を手に入れることもできる。現状維持でも、大王製紙から年間10~20億円の持分投資利益を取り込むことができる。

 

業界再編の思惑があること。割安さ。新型コロナウイルスの影響も無さそうだし、北越コーポレーションには投資妙味を感じますね。

 

▷今日の関連株

  • 北越コーポレーション東証一部 3865)業界5位。2018年に北越紀州製紙から社名変更。印刷・情報用紙、白板紙が中心。
  • 大王製紙東証一部 3880)業界4位。カジノ事件後、北越の持分法適用会社に。「エリエール」ブランドで家庭紙首位。紙おむつなども手掛ける。