銀泉
▶銀泉
最近、街を歩いていると建設中のビルが本当に多い。昨日も、新橋から日比谷に地名が変わる辺りを歩いていると、工事中のビルの囲いに「建築計画のお知らせ」が掲げられているのを見た。
高さ58mのオフィスビル「(仮称)銀泉西新橋ビル」が先月着工したところらしい。このビル、見る人が見れば、ここは三井住友銀行、それも旧住友銀行の支店だったのだろうなと推測できる。建築主は銀泉となっているが、住友にとって「泉」は特別な意味を持つ字である。住友財閥はかつて屋号を「泉屋」といい、住友の商標である井桁も「泉」を表す。住友グループ社長会は「泉」を上下に分解した「白水会」だし、六本木にある白水会が開かれるビルも泉ガーデンタワーだ。
実際調べてみたら、ここは以前、三井住友銀行の旧日比谷支店だったらしい。おそらく日比谷支店が周辺の別の支店と統廃合されるのに伴い、ビルを所有する銀泉が建て替えをすることになったのだろう。この銀泉という会社はビル賃貸や保険代理店を展開する旧住友銀行系の企業で、三井住友銀行が入居するオフィスビルをいくつか保有している。銀泉の現社長は旧住友銀行出身で三井住友銀行の副会長を務めていた人物。なので簡単に言えば、銀泉は旧住友銀行OBを受け入れる資産管理会社である。
ちなみに三井は、発祥の地である日本橋室町に由来する「室町殖産」という系列不動産会社を有している。「泉」や「室町」という字を見たら「お、住友か?三井か?」と疑ってみよう。
▶今日の関連株
- 三井住友フィナンシャルグループ(東証一部 8316)三井系のさくら銀行と住友銀行が2001年に合併。銀泉の役員の多くは旧住友銀行出身者。
- 京阪神ビルディング(東証一部 8818)中堅不動産会社。阪急系列から旧住友銀行系列に譲渡され、銀泉が筆頭株主(12.23%)であり、銀泉の筆頭株主(12.24%)でもある。
- 関西みらいフィナンシャルグループ(東証一部 7321)2018年に関西の3地銀が経営統合。傘下の関西アーバン銀行は旧住友銀行と親密だった。銀泉が第8位株主。
- 三十三フィナンシャルグループ(東証一部 7322)2018年に三重銀行と第三銀行が経営統合。傘下の三重銀行の役員の多くは旧住友銀行出身。銀泉が第3位株主。
- ニチハ(東証一部 7943)外壁材メーカー大手。かつて経営危機の際に旧住友銀行が支援。銀泉が第2位株主。
- アサヒグループホールディングス(東証一部 2502)「スーパードライ」ヒット前に経営危機に陥り、住友銀行主導で再建される。銀泉の筆頭株主(12.24%)。