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荏原製作所の寄付

荏原製作所の寄付

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先日12日にポンプ大手の荏原製作所が2019年12月期決算を発表した。売上高5,224億円(前期比2.6%増)、営業利益352億円(同8.7%増)、純利益は233億円(同27.9%増)と増収増益で、製造業では多くの企業が米中貿易摩擦の影響などで冴えない業績である中、好調さが際立つ内容だ。中国で石油・ガスプラント向けポンプの販売が伸びたほか、廃棄物処理プラントの運営事業も堅調だったとしている。

f:id:enterprise-research:20200214172441p:plainそして、あわせて2020年12月期の業績予想を発表したが、こちらは増収減益。営業利益で約82億円の減益を見込んでいるが、その内訳が気になった。中期経営計画「E-Plan」に関連する施策で27億円の減益、収益認識基準の変更で5億円の減益、為替影響で10億円の減益、そして40億円と最大の減益要因となっているのが畠山記念財団への寄付

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荏原製作所は、機械工学者・井口在屋(石川県出身)が体系づけた渦巻きポンプ理論をもとに、渦巻きポンプを実用化した畠山一清(石川県出身)が設立した「ゐのくち式機械事務所」を前身としている企業であり、畠山記念財団は、その畠山一清氏によって設立された財団。科学振興や育英奨学事業(石川県の育英関連団体にも)に援助を行なっているほか、畠山氏が生前収集した国宝6点を含む1,300点に上る茶道具、書画を展示する畠山記念館を運営している。

 

現在、畠山記念館は大規模改修で長期閉館していることから、おそらくこの改修費用として使われるのだろう。三井財閥三井記念美術館)や村田製作所創業家(清水三年坂美術館)、サントリーサントリー美術館)など企業や創業家が芸術を支えてきた面は大きいし、意義のある40億円なのだとは思うが、創業家の手から離れた独立した上場企業が40億円もの寄付をする妥当性があるのか、どのような恩恵が株主にあるのか、納得できる説明ができるだろうか。僕はそれはなかなか難しい時代になってきたと思う。まあ家から近いので、とりあえず畠山記念館がリニューアルオープンしたら一度、行ってみようとは思うが。

 

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