セコム上信越だけなぜ上場?
▶セコム上信越だけなぜ上場?
先日、東芝が約2,000億円を投じて東芝プラントシステムズなど上場子会社3社を完全子会社化すると発表した。「親子上場」は、子会社の少数株主が軽視されがちだったり、親会社株主から見れば利益が外部に流出している、という問題点があり投資家からの目が非常に厳しくなっている。日立製作所や三菱ケミカルホールディングスも上場子会社を減らしているし、「親子上場」を解消するというのがここ数年の流れだ。野村資本市場研究所の調査では2019年3月末時点で、親子上場数はいまだ262社に上っており、今後も親子上場解消の余地は大きい。
親子上場している企業の中で最も注目しているのがセコム上信越。社名の通り、警備サービス国内首位のセコムの子会社で、上信越地域(新潟県、長野県、群馬県)を担当している。
セコムは地域事業子会社を7社持っていて、いずれも過半を出資しているものの、地元資本が入っていたりで100%子会社ではない。そしてその中でセコム上信越だけがなぜか2002年から上場している。なぜ上場させたのかはよくわからない。謎。
業績はというと非常に安定していて、リーマン・ショックなどの影響は見られない。営業利益率も18.5%と高く、EPSも成長している。
財務面でも優良で、無借金経営で自己資本比率は85.6%にも上っている。ネットキャッシュは300億円超。営業エリアが上信越地域に限られていることから、あまり事業に投資する必要がなく、資金があまりがちという状況に見える。
親子上場かつキャッシュリッチであるので、英系投資ファンド「アセット・バリュー・インベスターズ(AVI)」が去年から株主名簿上位に顔を出してきたりもしている。株主からの圧力も強くなっているし、親子上場解消のためにセコムがTOBする時期はそう遠くないように思う。TOBされないとしても、景気変動に左右されにくい高収益企業ということから長期保有にも向いている。年末に帰省したら、祖母に勧めてみよっと。