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エア・ウォーターの変心?

エア・ウォーターの変心?

www.nikkei.com

産業ガス国内2位のエア・ウォーターが11月25日に公募増資を発表した。2019年に入って、立て続けに各200億円規模のインドの産業ガス会社2社を買収発表しており、公募増資で調達する約600億円は、買収に伴う借入金の返済や新規の買収資金に充てるとしている。

 

このように、国内市場の成長鈍化・縮小に対し、海外進出を積極化するのは、近年、よく見られる日本企業の姿勢である。しかし、これまでのエア・ウォーターの経営方針はこれとは大きく異なっていた。エア・ウォーターは、主力の国内産業ガス業界の成長率鈍化に対し、「全天候型経営」を掲げ、特に医療分野や農業・食品分野などの景気変動に左右されにくい事業で2010年~2018年の間に計57社のM&Aを行ない、多角化することで対応してきた。この間のM&Aの特徴を簡単に言うと「(額が)小規模」「国内」「産業ガス業界以外」だった。

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M&Aで産業ガス事業に頼らない事業構造へ変身」

それに対し2019年に入ってのインド企業の買収は、これまで最大でも約100億円の買収を続けてきたエア・ウォーターにとって「(額が)大規模」であり、「海外」での「産業ガス」分野での買収である。

 

2019年5月に発表した新中期経営計画に沿って、経営方針の変化が早くも見られているということだろうか。

 

最大で発行済み株式数が約16%増える見込みであるため、1株あたり利益の希薄化などがネガティブ視され、26日の取引では株価は大きく下落したが、景気変動に左右されにくい「全天候型経営」でありながらも、成長著しいインドでの産業ガス事業による成長力を備え持つ、新しい中期経営計画のエア・ウォーターがPER11倍、PBR1.2倍であるというのは非常に割安に見える。2021年にはどんな企業になっているのか、楽しみな企業の一つである。

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