石川県にある「歯科のアマゾン」
▶石川県にある「歯科のアマゾン」
石川県には全部で27社の上場企業がある。時価総額が最大なのはクスリのアオキホールディングスで2,581億円、次いで878億円のEIZO、768億円の澁谷工業と続く。それ以下は数十億円から100億円規模の小型株、それも製造業分野が多い。そして製造業分野でもニッチな分野で高いシェアを持ち、知る人ぞ知る企業が多く、言ってしまえば「地味な企業」ばかりだ。
そんな中でわりと異彩を放っているのが、2017年12月に石川県で26番目の上場企業となった歯愛メディカル。歯科製品の通信販売を行なっている企業で、全国6万軒の歯科医院と取引がある。言うなれば「歯科製品のアマゾン」、こういうIT寄りのベンチャー企業はやはり地方よりも東京など都市部に本社を置いていることが多く、あまり石川県っぽくない。
業績は堅調で、売上高は年平均10%以上の成長、営業利益も物流費高騰などの影響を受けつつも安定している。
無借金経営で財務体質も良く、財務面での先行きの懸念点は物流費の高騰くらいだろうか。
資本面では、歯愛メディカルは上場前の2016年にメディカル事業を強化している産業ガス大手のエア・ウォーターと資本提携し、同社から40%の出資を受け入れている。一方で、創業者の清水清人氏も49%の株を保有しているため、市場に流通している株が非常に少なく、株価が一方に振られやすいことが投資をする上でのネックだ。
そうしたこともあり、2017年12月に3,300円でIPO後、2018年3月には12,440円まで値を飛ばしたが、最近は、2,400円台を行ったり来たりしている。現在の株価の水準だと、PER16.7倍、PBR2.40倍で成長性やビジネスモデルのおもしろさのわりにそれほど高くはない。何かきっかけがあれば再浮上しそうだし、エア・ウォーターとの協業の効果などが業績に表れてくれば、こんな株価ではないだろう。
歯愛メディカルは「石川県っぽくない」と書いたが、無借金で堅実な経営をしている点は実に石川県の企業っぽい。まあやっぱり最後は現金をたくさん持っている企業や堅実な経営をしている企業が強い。石川県の企業の強さはそこにあると思う。そして強いわりに地味で株式市場ではあまり注目されず、割安なものも多い。大胆に言ってしまえば、石川県の企業の株は「買い」。トップピックはEIZO、高松機械工業だが、歯愛メディカルもこの水準なら「買い」だろう。