ラピスラズリの青

主に自分の好きなものや興味のあることと企業をからめて

長府製作所という債券投資家

長府製作所という債券投資家

前回は『投資ファンドみたいな電気工事会社』というタイトルで、中電工のことを書いた。中電工は総資産の4割を国債・公債、社債などの投資有価証券で運用している投資ファンドみたいな電気工事会社である。

 

enterprise-research.hatenablog.com

 

投資ファンドみたい」という意味では給湯機器を製造する長府製作所の方が当てはまるかもしれない。長府製作所は総資産のなんと6割以上が投資有価証券で、こちらも国債・公債、社債などの債券で大部分を運用している。

f:id:enterprise-research:20190914113433p:plain

f:id:enterprise-research:20190914120631p:plain

「2013年12月期以降、明細は公表していないが、現在もこうした債券を保有しているとみられる」

 

とある証券会社のアナリストが、長府製作所の担当者に「どうしてそんなに投資有価証券を保有しているのか?」と聞いたとき、「いつか受取利息・受取配当金だけで従業員の給与を払えるようにしたい」と答えたそうだ。

f:id:enterprise-research:20190914115653p:plain

現在、長府製作所の年間の受取利息・受取配当金は総額で11億円程度。労務費・給料手当はだいたい80億円ほどなのでまだまだ足りないが、事業が不振に陥ったときも従業員の給与を支払えるようにという、従業員を大切にする古き良き日本の会社なんだろうなあと思う。

 

ただ今の時代、投資家から預かった資金を投資有価証券で運用する事業会社なんてのはあまり良い評価がされない。そのうち、機関投資家などから投資有価証券を売却し、事業に投資するか、使い途がないのなら株主に還元するように言われると思う。中電工長府製作所のような会社は早晩、見られなくなるのではないか。

 

▶今日の関連株