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日銀の次の一手

▶日銀の次の一手

日本企業にとって、下半期のリスクの一つは「円高リスク」だろう。米FRBは利下げを開始、欧州ECBも緩和方向に政策をシフトしている。一方で日本銀行は大規模な金融緩和を続けているため、追加の金融政策を打ち出す余地が少なくなっている。米国経済の減速感も相まって、年初来高値の104円を割る水準までの円高の可能性が高くなってきたように思う。

 

円安は、輸出企業の業績にプラスの影響を与えるだけでなく、日本経済全体にとってもプラスで、みずほ総合研究所の試算では10%の円安はGDPを0.3%、20%ならば0.6%押し上げる効果があるとされている。逆にいえば円高はやはりネガティブな影響が大きい。打つ手がないと思われている日銀はこうした状況に加え、来月に消費増税も控えていることから意外にも9月19日、20日金融政策決定会合で追加の金融緩和策を出してくる可能性もある。

 

日銀の現在行っている金融政策をおさらいすると、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」と呼ばれ、短期金利部分は日銀当座預金の一部に▲0.1%のマイナス金利を適用し、年間80兆円の国債買い入れを通じて、長期金利をゼロ%程度に維持する、そしてETF(上場投資信託)・REIT不動産投資信託)を年間それぞれ6兆円、0.3兆円買い入れるというもの。また政策金利フォワドガイダンス(少なくとも2020年春まで、低い長短金利を維持)も行っている。

 

Bloombergでは、①短期金利▲0.1%の引き下げ(マイナス金利深掘り)、②長期金利ゼロ%程度からの引き下げ、③ETFなどの買い入れの増額、④マネタリーベース拡大ペースの加速、の4つを次の一手の選択肢として挙げている。


www.bloomberg.co.jp

 

市場関係者の中では、次の一手として最も可能性が高いのは「マイナス金利の深掘り」とされていて、実際、黒田総裁は「(マイナス金利の)深掘りは従来から示している4つのオプションに必ず入っている」と発言。今までになかったかなり踏み込んだ発言だ。

www.nikkei.com

 

9月19日、20日の決定会合でマイナス金利が深掘りされると、株式市場はどう反応するのか。▲0.1%のマイナス金利が導入された2016年1月29日の値動きを調べてみた。東証一部上場企業の値上がり率ランキング上位50社中、実に22社が不動産関係。

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ということで、マイナス金利が深掘りされるなら不動産株、REITなどを買うべきということになるだろうか。9月19日、20日を注視したい。

 

 

▶今日の関連株

  • 東急不動産ホールディングス東証一部 3289)2016年1月29日に▲0.1%のマイナス金利の導入が決定されたとき、偶然保有していた。業界4位で規模が大きいがストップ高となった。今回も有望か?