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3263円で売っている一万円札

▶3263円で売っている一万円札

昨日、紹介した旧日本興業銀行系の不動産会社ユニゾホールディングスだが、現在、旅行代理店大手のエイチ・アイ・エスから敵対的TOBをかけられている。そして今日、その敵対的TOBへの対抗策としてソフトバンクグループ傘下の投資ファンドフォートレス」をホワイトナイトとするTOBが発表された。

www.nikkei.com

 

ユニゾは東京駅前などにビルを多数所有し、時価評価で不動産含み益が1364.48億円ある。売却時に3割の税金が引かれるとして955.13億円。そこにユニゾの純資産1131.60億円を足すと純資産価値(NAV)は2086.73億円となる。TOB発表前の7月9日に1990円の終値を付けていたユニゾは、時価総額680.99億円なので、NAV倍率は680.99÷2086.73=0.3263。

 

これはつまり「3263円で1万円札を売っている」ようなもの。ホテル事業を強化したいエイチ・アイ・エスはこの割安さに目を付けた。

 

また、ユニゾは興銀系の不動産会社であるため、数年前までは興銀系企業や親密会社が主要株主となり、敵対的買収は不可能な株主構成になっていた。しかし直近4年間で4回もの公募増資を繰り返した結果、興銀系株主の持ち株比率が減少したこともエイチ・アイ・エスがユニゾに狙う要因の一つとなった。

 

 

 

 

繰り返しになるが「3263円で1万円札が買える」なんてのは異常なわけで、こういう資本市場で形成される価格の歪みを見つけるのも一つの投資法。次に狙われるのはどこなのか考えると楽しそう。

 

 

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NAV倍率から見ると、0.43倍の東京建物、0.37倍のダイビルが低い。東京建物は特定の主要株主を持たない点でユニゾ的な展開があるかもしれない。ダイビル商船三井が51%を保有しているので、商船三井による完全子会社化や、逆に株式の売却があり得る点で有望なのかな。

 

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