テーオーシーのMBO
▶テーオーシーのMBO
ツイッターで著名な投資家の「かぶ1000」さんという方がいらっしゃるのだけど、不動産会社の「テーオーシー」を買ったよう。
6/21 前日比▼2,664,820円(売買あり) https://t.co/5s7pt6GLRu #r_blog
— かぶ1000 (@kabu1000) 2019年6月23日
テーオーシーを新規に購入。合わせて優待クロスも実施したため、CPは2.8%まで急低下へ。
テーオーシーについてはおもしろい歴史があるので、僕も前に一度、ブログで取り上げた。
enterprise-research.hatenablog.com
このブログを簡単に紹介すると、戦前には名門製薬会社だった星製薬が、創業者の星一の死去後、製鉄業で成功した大谷米太郎の手に渡り、星製薬の旧工場敷地にオフィスビルを建てたのが現在のテーオーシーになっているというような内容。
そういう経緯があるので、テーオーシーは現在でも大谷米太郎の大谷家が多くの株を保有していて、2007年には大谷家がMBO(経営陣が自社を買収すること)を発表し、大谷家以外の株主を排除したうえで、非公開化しようとした。
MBOは少数株主を排除することで、より自由に経営するために行われるが、少数株主を排除するためには議決権の2/3、つまり議決権で66.7%の株主の賛成が必要となる。
2007年に実施された大谷家のMBOでは、提示されたMBO価格が800円と低かったことや投資ファンドからの対抗TOBが入ったことから、66.7%に達せず失敗に終わった。
現在の大株主の状況をみると、大谷家系のニュー・オータニや大谷家資産管理会社が48.04%を保有している。
さらには、会長の大谷和彦氏が1.65%、社長の大谷宅男氏が0.33%を保有。歴史的に親密なサンリオが1.46%。株式持ち合いをしている学研HD0.12%などを合わせると51.6%は堅い。そこに大成建設4.95%や一部の取引先金融機関が加われば、既に6割近くの議決権を押さえている計算だから、MBOに必要な66.7%というハードルは低い。
2007年に一度はMBOを実施し、非公開化しようとしたのだから、今でもチャンスがあればMBOに再挑戦するはずだし、今は有利な株主構成になっているから、その時期はそれほど遠くないと思う。
保有不動産の含み益が1000億円近いし、一株1000円台でMBO提案しても妥当だと思う。(2007年は一株800円を提示、投資ファンドダヴィンチ・アドバイザースは1308円で対抗TOB)
今日の終値は684円だから、大きな投資機会があるかもしれませんね。
▶今日の関連株
- テーオーシー(東証一部 8841)大谷家が多くの株を保有する不動産会社。
- 大谷工業(東証一部 5939)同じく大谷家が経営に関わる鉄塔メーカー。
- 合同製鐵(東証一部 5410)日本製鉄系電炉大手。大谷米太郎の製鉄会社「大谷重工業」と「大阪製鐵」が合併して発足。
- SECカーボン(東証一部 5304)炭素製品の大手。大谷家が経営する大谷製鉄が大株主。
大谷米太郎という人物もなかなか変わった経営者でおもしろい。1881年に富山県の貧農の家に生まれ、31歳で上京し日雇い労働をしていたところに、相撲の稲川部屋に入り力士になる。その後酒屋の経営で資金を作ると、その資金で鉄鋼会社を創業し、一代で大谷重工業(現‐合同製鐵)を築きあげる。80歳を過ぎてからホテルのニュー・オータニを建てたりと活躍した。
大谷米太郎は「私の履歴書」の冒頭で「若い読者諸君に言っておきたいことがある。それはたった今から、収入の一割を貯金したまえ、ということだ」と述べている。「カネは力なり」とも言っている。
というわけで、みなさんも貯金(今の時代なら投資かな?)しましょう