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廣済堂

廣済堂

廣済堂東証一部上場の中堅印刷会社。

 

MBO(経営陣が会社を買収)して上場廃止にすることを1月17日に発表している。

www.nikkei.com

 

当初のMBOの価格は1株610円。

 

1株610円とすると、廣済堂の価値は152億円と査定されたことになる。

 

実際には、直近の決算で廣済堂の純資産は466億円。1株純資産は1114円。

 

つまり、損失などで今後300億円以上の純資産の毀損を想定しているわけになる。

 

 

このMBO価格に待ったをかけたのが旧村上ファンド系投資会社レノ

 

2月4日に大量保有報告書(5%以上を取得すると提出しなくちゃいけない)を提出して以降、買い進め、現在では南青山不動産村上世彰氏の個人資産運用会社)と合わせて11.71%を保有している。

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東京博善

廣済堂が60.9%を出資する子会社「東京博善」。

 

この会社が今回のTOBのキー。

 

 

東京博善は斎場を運営する企業で、2018年3月期は売上高86億円、営業利益26億円と、営業利益29.1%の優良企業。自己資本比率も92.5%で、純資産は452億円もある。

 

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東京博善は東京23区内に全部で9か所ある火葬場のうち、6か所を運営していて、23区内の死亡数の約7割の火葬を手掛けている。

 

火葬場は、迷惑施設なため、周辺住民の反対で新たな施設を建設することが難しいため、こんなに利益が上がる事業でも、今後も新規参入は考えづらい。

 

toyokeizai.net

 

こういう優良企業を持っていることが、廣済堂経営陣がMBOしようと思った理由だろうし、レノが出てきたのも、これが理由だろうと思う。

 

 

 

 

 

廣済堂の現在の株主構成は、旧村上ファンド系の11.71%の他には、澤田HDが12.4%、櫻井美江氏が9.69%を保有している。

 

また櫻井氏はMBOへの反対を表明している。

 

 つまり、澤田HDが旧村上ファンドへ協力、またはMBOへの反対を表明すれば、

 

12.4%+11.71%+9.69%=33.8%>3分の1

 

廣済堂TOBの下限が66.7%なので、MBOは不成立になる。

 

 

 

実は、レノ大量保有報告書を提出したのを見て、ひと悶着ありそうだと思ったから、取得平均707円でちょっとだけ廣済堂株持ってる。

 

南青山不動産が対抗TOBを発表したことで、廣済堂経営陣側も、さらにTOB価格を上げてくるんじゃないかと思うし、もう少し楽しんで見ていたい。

 

 

今日の関連株

廣済堂東証一部 7868)‐ 印刷会社だが、子会社が経営する斎場が収益源。

澤田HD東証一部 8699)- 証券業、債権回収や、海外での銀行経営を行う。